2023年1月末の閉店を予定している北海道帯広市の百貨店「藤丸」では、8月11日から閉店感謝セールが始まりました。
地方の百貨店が次々と閉店する背景にあるものとは?
帯広市の百貨店「藤丸」の閉店感謝セール。開店前から買い物客が訪れ、午前10時の開店と同時に売り場へと向かいました。
田中 うた乃 記者:「人気アウトドアブランドのTシャツやパーカーが、30パーセントオフとお買い得になっています」
第一弾のセールでは、衣料品や雑貨などが売り出されました。
来店客(50代):「お気に入りのタオルが安かったので買いました。最後になるのなら、少しでも来たいなと思って」
来店客(70代):「寂しいです。私たちの年代は『藤丸』が必要なので、本当に寂しい」
122年の歴史がある老舗百貨店が2023年1月末での閉店を余儀なくされたワケとは。地方の百貨店を取り巻く、厳しい事情がありました。
藤丸 藤本 長章 社長:「122年間お世話になったみなさまに、感謝の気持ちをお返しする」
婦人服のテナントをおよそ40年に渡り出店し、専門店会の会長も務めている臼井呉行さんは、厳しい状態が続いていたといいます。
藤丸専門店会 臼井 呉行 会長:「今から2~3年前の閉店でもおかしくない状態を、今まで経営してきたのはすごい」
1900年に呉服店として創業したのち百貨店となり、1982年には地上8階建ての現在の店舗が開業しました。
最盛期には年間145億円の売り上げがありましたが、最近は客が減少。新型コロナ感染拡大による外出自粛が追い打ちをかけ、122年の歴史に幕を下ろすこととなりました。2023年1月の閉店後の具体的な方針は示されていません。
藤丸専門店会 臼井 呉行 会長:「我々のテナントも社員を抱えて経営しているので、今後の見通しは早ければ早い方がいい」
帯広市の中心部に立地する「藤丸」。
周辺の商店街は、閉店により中心部のにぎわいが失われるのではないかと心配しています。
帯広平原通商店街振興組合 清水 達朗 理事長:「百貨店は商店街にとって一番中心の店舗。『藤丸』に用事があって来たついでに近隣の店舗を回るというのが、街の中心部を訪れる客のパターン。それがなくなる影響は大きい」
商店街に加盟する店舗も年々減少しています。中心部の集客を今後どう維持していくのか。大きな課題です。
帯広平原通商店街振興組合 清水 達朗 理事長:「スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなど、買い物をする場所が数十年前と比べ格段に増えている。わざわざ街の中心部に出てこなくても必要なものがそろう環境になった。商店街としては『藤丸』という大黒柱がなくなったあと、どうやって存在感を出していくのか考えなければならない」
北海道内では百貨店の閉店が相次いでいます。
ピーク時の1970年代には20店舗近くありましたが2000年以降次々と姿を消し、現在残っているのは6店舗のみです。
2019年には函館市の「棒二森屋」が経営不振で閉店し、「藤丸」が唯一の地元資本の百貨店でした。
その背景について、地方経済に詳しい専門家は。
神戸国際大学 経済学部 中村 智彦 教授:「“デパ地下”に行かなくても、他でいいものが買える。車で札幌市まで行くなど、だんだん地元で買い物をしなくなった。需要やライフスタイルが変わってきている中で、百貨店というビジネススタイルが維持できなくなってきている」
地方の百貨店が生き残るためには、何が必要なのでしょうか。
神戸国際大学 経済学部 中村 智彦 教授:「百貨店にわざわざ行こうと思わせるような品ぞろえができるかどうか。地域の人たちにどれくらい支える気があるかどうかがポイント」
「藤丸」は北海道十勝地方でリゾート施設などを運営している地方創生ベンチャー「そら」に再建の支援を要請しました。
屋号を残して事業を引き継ぐ方針ですが、具体的な再建計画は明らかになっていません。
消える“地方の百貨店” その切実なワケとは…北海道帯広市の老舗「藤丸」 閉店感謝セール始まる (22/08/13 10:30)
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