北海道知床半島沖で26人を乗せた観光船「KAZU1(カズワン)」が沈没した事故は、いまだに見つからない行方不明の人が12人います。
懸命に捜索を続ける地元漁業者たちが、5月6日から始まる漁の再開を前に、今後も捜索を続ける決意を語ってくれました。
ウトロ漁港 副救助長 古坂 彰彦さん:「最後ってわけじゃない。(海保の)要請が最後の日。航海中とかやっていく。
行方不明者を全員見つけたい…。ウトロ漁協の副救助長を務める古坂さんは、カズワンが沈没した日に捜索に出れなかったことを悔やんでいました。
ウトロ漁港 副救助長 古坂 彰彦さん:「水温が3℃しかなかった。時化(しけ)ていると、一刻も早く助けに行かないと…。(Q.行けなかった?)行けなかった。行ってたら何人かでも助けてあげられたのかも…」
観光船カズワンが沈没してから13日間にわたって、行方不明者の捜索に当たっている地元の漁師たち。これまでに"しけ"の3日間を除き、連日1日当たり最大で約10隻、約100人が10時間ほど捜索にあたって来ました。
漁船による捜索は、船を横並びに動かして、大勢の目によってくまなく海を見るものでした。
自分たちが日々仕事場としている海で、多くの犠牲者が出た事故。複雑な思いを抱えていました。
地元漁師:「そりゃ苦しいよ。亡くなった現場で俺たちこの先ずっと働かなくちゃいけない。家帰ったら泣くよ。息子のプレゼントで親御さん亡くなったりしているんでしょ。そういうの聞くと苦しいよ」
(上空のヘリから):「地元の漁業関係者らでしょうか。険しい岩場を歩いて、捜索しています」
事故から4日目の4月26日には、陸地に上がっての捜索も…そこで見つかったのが…。
「救命胴衣が5つ。リュックが2つ。靴が1つかな」
乗客のものとみられるリュック。見つけたのは、この日陸上捜索を行っていた古坂さんたちの班でした。
ウトロ漁港 副救助長 古坂 彰彦さん:「中身を見たら3歳の子どもの物。ぬり絵だとかお菓子とかゲームとか、おにぎりも入っていたみたい」
古坂さんは、死亡が確認された3歳の加藤七菜子ちゃんのものだったと考えました。
ウトロ漁港 副救助長 古坂 彰彦さん:「お母さんが届けたのかなって、みんな言葉をなくしていた。うちの孫が3歳で女の子で、ゲームをよくしていて本当に重なって、かわいそうだなって」
七菜子ちゃんのお母さんは今も見つかっていません。
一刻も早く全員を見つけてあげたい…。しかし、厳しい自然がそれを阻みます。
FNN取材団 市原 璃音 記者:「きのうまで捜索の漁船が出ていたが、きょうは午後から荒れるということで漁船は出ていません」
2日続けての悪天候により捜索が中止。
地元漁師:「見つからないとやっぱり悔しいし、一刻も早く見つけてあげたい」
さらに、4月28日には知床半島の反対側の羅臼沖で新たに3人が見つかり、捜索範囲も広くなりました。
その後、新たな行方不明者や遺留品の発見はされていません。
そして、5月5日をもって漁業関係者への捜索要請は解除されます。
石井 祐里枝 アナウンサー:「(5日)午後3時、捜索に出ていた漁船が戻ってきました。漁ではなく、行方不明者の捜索として海に出た最後の日です。手がかりはあったのでしょうか」
ウトロ漁港 副救助長 古坂 彰彦さん:「陸上と海を行ったけど何もなかった。まだ12人が見つかっていないので心配だけど、漁と捜索をやらないといけない。残念です。見つけてあげられなかったのが」
今後、地元の漁師たちは、漁を続けながらも捜索を続けていくとしています。
(KAZU1の「ワン」は正式にはローマ数字)
「うちの孫が3歳で女の子で…」七菜子ちゃんに孫が重なる…沈没から13日間 捜索する"漁師たちの思い" (22/05/05 19:42)
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