北海道函館市にある小さな食堂がコロナ禍を乗り越え、仰天の記録を打ち立てました。観光客が減り苦しむマチで、地域に愛される店が伝える逆境に負けないヒントとは?
コロナ禍で観光客が激減した函館市。しかし、ベイエリア近くの定食屋から聞こえてくるのは元気な笑い声。
「がははははっ」
地域の人がこよなく愛する「たつみ食堂」。ある大記録の達成が迫っていました。
たつみ食堂 店主 山田 征勝さん:「休まず1万日、27年4か月頑張りました」
休まず店を開け続けてなんと27年、連続1万日。
マチに津波が押し寄せた日も、ブラックアウトの日も店を開け続けてきました。そしてコロナ禍。それでも休みません。
Q. とんでもない店に勤めてしまった?
たつみ食堂 従業員 水嶋 妙子さん:「そうなんです、実際はそうなんです(笑)」
その姿は、コロナ禍で傷ついたマチの光になっています。
シエスタ ハコダテ統括責任者 岡本 啓吾さん: 「地域の人と関わりながら続けた1万日は代えがたいもの」
そして、達成した大記録。
たつみ食堂 店主 山田 征勝さん:「涙が出てきている。あれ、ティッシュなかったかな(笑)」
27年間、休まずに営業を続けてきた函館市の定食屋「たつみ食堂」。
前人未踏の大記録、連続営業1万日目の朝。店主の山田征勝さん(80)は、毎朝手を合わせる神棚に報告します。
たつみ食堂 店主 山田 征勝さん:「1万日、達成することができました。ありがとうございます」
無休営業を始めたのは、村山内閣が誕生した1994年。腰を痛め半年間休業した時、客が離れた苦い経験がきっかけでした。
たつみ食堂 店主 山田 征勝さん(2005年当時):「(休むと)当然お客さんはいなくなりますよね。人並のことやったんじゃ勝てない。とにかく『たつみ』の名前を売ろうということで無休営業をスタートした」
地域の若者の成長を見守り、旅行客をもてなす。そんな1日1日を積み重ねてきました。
2011年の山田さん。東日本大震災があった日も店を開けました。そして迎える1万日。
たつみ食堂 店主 山田 征勝さん:「感無量どころの騒ぎじゃないよ。涙が出てきている。あれ、ティッシュなかったかな(笑)」
午前10時30分、開店と同時に3組の客が来店しました。
Q。きょうどちらから?
客:「地元です。市内の栄町でライダーハウス経営してます。昔からここのお父さんにお世話になっている。うちの宿でもここの料理安くておいしいと紹介してる。持ちつ持たれつでやってきた」
地域とのつながりが無休営業の原動力です。
観光都市でもある函館市はコロナ禍で大きく傷つきました。2021年上期の観光客は2020年同時期から9%ほど増えたものの、回復にはほど遠い状況です。
閉店を余儀なくされる店も相次いでいます。そうした中、無休営業を続けたたつみ食堂は、一筋の光になっています。
函館市の複合商業施設「シエスタ ハコダテ」。
2021年4月には北海道内で初めて、無印良品が手掛ける食料品専門売り場が誕生。さらに移動販売車を使い集会所で食品を販売するなど、地域密着がテーマです。
シエスタ ハコダテ統括責任者 岡本 啓吾さん:「たつみ食堂さんもそうですよね。地域の人と関わりながら続けていった1万日は代えがたいもの」
さらに、こんな店も。12月1日にオープンした六花亭漁火通店。
地元客:「なかなかこういう景色を見ながら食べるってことはないので、気分転換になる」
2階の喫茶室は、地域の人が海を見ながらゆったりできるスポットとして人気です。地元のファンを増やし、逆境に負けない取り組みが函館市の各地で続きます。
1日2回コメをとぐ山田さん。なんだかつらそうです。
Q.腰に負担かかる?
たつみ食堂 店主 山田 征勝さん:「(負担)かかる。かがまないといけないから」
実は2021年10月、仕込み中に腰の骨を折り3週間ほど入院しました。この休業のピンチを救ったのは山田さんの3人の娘。長女の後藤匡里子さん、次女の表野匡沙子さん、三女の野村拓美さん。
「からあげ一つ」
女性陣:「はーい」
そして、ベテラン従業員の水嶋妙子さんが交代で勤務し、無休営業を続けました。
たつみ食堂 従業員 水嶋 妙子さん:「気さくなお客さんばかりで、楽しくやってこれた。それがやっぱり自分を奮い立たせてくれた」
Q。とんでもない店に勤めてしまったとは?
たつみ食堂 従業員 水嶋 妙子さん「そうなんです、実際はそうなんです(笑)」
山田さんの長女の娘と水嶋さんの娘も手伝いに入り、大忙しの昼時を乗り越えました。結婚式の日にも働いていた父親に娘は…。
山田さんの三女 野村 拓美さん:「休んでもらいたかった。結婚式出て、店出てって感じ。子どもが結婚するたびにやってたので…客がこうして来てくれるのは、結果として父の良さだったりします」
大記録は山田さんと従業員だけでなく、店を愛するみんなで作ったものです。
たつみ食堂 店主 山田 征勝さん:「肩の荷がおりましたね。緊張に緊張を重ねてきたからね。あすからいつ休んでもいい、本当に。感謝、感激、雨、あられ」
続けることの難しさ、大切さ。笑顔の山田さんが教えてくれることが、コロナ下の道しるべになっています。
たつみ食堂の連続無休営業は1万日を区切りにし、今後は週1回休むということですが、店主の山田さんは「やれるところまで店は続ける」と話しています。
津波の時も地震の日も…小さな食堂 年中無休"27年連続 1万日"達成 仰天の記録は大きな希望 函館市 (21/12/18 09:00)
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