新型コロナウイルスの感染拡大で部活動が制限される中、たった11人の吹奏楽部がコンクールで金賞を受賞しました。コロナ禍の部活動と子どもたちの思いを取材しました。
北海道木古内町にある木古内小学校吹奏楽部。部員はたったの11人ですが、2021年8月、函館地区大会で金賞を受賞し、札幌で開催される全道大会への出場が決まりました。
しかし、大会直前、新型コロナウイルスが猛威を振るいました。
北海道教育委員会 倉本 博史 教育長:「国は本道の感染状況を踏まえて緊急事態措置を決定した。部活動については高体連等が主催する全道、全国に直結する大会に出場する部活動に限定し、それ以外は休止する」
北海道教育委員会のこの措置は波紋を広げました。
北海道医療大学 塚本 容子 教授: 「緊急事態宣言下は多くのエリアから人が集まるような大会は避けるべき」
木古内小学校 小田 将之 校長:「地域から子どもを札幌に行かせることに、不安の声はいくつかきていた」
果たして緊急事態宣言下の部活動はどうあるべきなのでしょうか…
「ワン、ツー、ワンツー。はい。はい。では続いて」
木古内小学校 吹奏楽部顧問 五十嵐 大 先生:「(楽器を)吹かない時はマスクをして換気して。ペアでやらせたいが(距離が)近くなるし目が届かなくなる。1人で教室でやらせている」
全校生徒111人の木古内小学校。緊急事態宣言下で練習に励むのは吹奏楽部の11人。
コロナ禍での部活動に、生徒たちはストレスを感じています。
6年生(トランペット)松井 十彩さん:「練習する時間がすごく減った。合わせる時間もなくなったのがすごく嫌でした」
6年生(クラリネット)川口 琉花さん:「感染対策をしながら楽器を吹くことが大変なので不安でした」
木古内小学校 吹奏楽部顧問 五十嵐 大 先生:「ゆっくりでいい、ゆっくりでいい。何回もやって間違ってばかり」
4年生(パーカッション)松井 彩之助くん:「(Q楽器が多くて大変?)はい、大変といえば大変です。(テンポが)速い時もあるし、ちょっとだけ間がある時もあるので、速い時はすぐに移動しなければいけないのでそれが大変」
部の中で唯一の男子で、12種類の楽器を担当するパーカッションの松井彩之助くん、4年生。
4年生(パーカッション)松井 彩之助くん:「いえーい」
明るい性格ですが、吹奏楽に対してはストイックです。
学校での練習が制限される中、自宅で猛特訓を続けました。ある目標があったからです。
4年生(パーカッション)松井 彩之助くん:「(コロナで)2020年の大会がなくて出たことがなかったので、金で日本一になりたいです」
しかしこの夏、部活動による児童生徒の感染が拡大。
苫小牧市 岩倉 博文 市長:「今大会を通じて大規模なクラスターが発生したこと、深くおわびを申し上げます」
苫小牧市では8月、「全国高校選抜アイスホッケー大会」で道内外の生徒132人を含む150人が感染する大規模なクラスターが発生。
北海道内の学校では8月と9月で36件のクラスターが確認され、500人以上が感染。このうち約4割が、小学校から高校の部活動が関連していました。
こうした感染拡大時の部活動はどうあるべきなのでしょうか。
子どもを持つ40代:「学校自体やっているので部活だけを禁止するのは子どもたちのことを思うといいことではない」
子どもを持つ50代:「全道大会に結びつく大会の部活だけとか納得がいかない。感染を拡大させないことにおいては、やらないという選択肢しかないと思う」
一方、感染症対策の専門家は部活動の前後の過ごし方に注目します。
北海道医療大学 塚本 容子 教授:「一番感染のリスクとして大きいのは、マスクをとって話しながら部活で過ごすこと」
その上で道教委の対応に疑問を呈します。
北海道医療大学 塚本 容子 教授:「私自身も大学の教員ですので学生に対する教育的な配慮を考える。(宣言下は)いうなれば強い部活だったら練習していいよって話。弱ければそんな必要もないからというのは、逆に教育的なメッセージとしてよくないと思う」
こうした指摘に対し道教委は。
北海道教育庁学校教育局健康・体育課 尾形 友秀 課長補佐:「大人であればまた来年大会があるからいいとなる。子どもたちは違う。(コロナ禍以前の)今まで通りのものをなるべく保障してあげる必要がある。特に全国大会につながるもの、全道大会につながるものは、(感染防止)対策を取りながら活動できるようにさせてあげようという考え」
北海道に3回目となる緊急事態宣言が発令された2日後。
木古内小学校吹奏楽部は保護者や町の支援を受け、札幌で開催された全道大会に、函館地区代表として出場しました。
大会を開催するかどうかの判断は主催者に委ねられ、北海道吹奏楽連盟は道が要請するイベントの開催要件を守り感染対策に万全を尽くすとしました。
6年生(アルトサックス)石塚 希來莉さん:「すごく町の人に感謝でいっぱいでした」
6年生(パーカッション)三浦 香さん:「札幌に行って帰ってきて家族にコロナをうつしたらどうしようとずっと思っていたので心配でした」
4年生(パーカッション)松井 彩之助くん:「お父さんだったり支えてくれたので(全道に)行くことになりました」
5年生(バスクラリネット)大野 心夏さん:「(全道に)行けなかった学校の人たちのためにも頑張らなければという気持ちになりました」
4年生(フルート)岩本 奈月さん:「ぜったいに優勝したい」
4年生(クラリネット)成澤 夏楓さん:「(町の)みんなの協力で札幌に行けたからうれしかったです」
吹奏楽部顧問 五十嵐 大 先生:「(コロナ禍で去年は)真っ先に自分の心が折れていた。(子どもたちに)何もできない、してあげられないことで…」
出場した17団体中、木古内小学校は見事"金賞"に輝き、全国の強豪が集う東日本大会の北海道代表に選ばれました。
5年生(トランペット)冨田 心愛さん:「(全道でも金賞に)ひっくり返りそうでした。今は最初よりは自信がつきました」
5年生(フレンチホルン)泉 陽菜さん:「うれしくて喜びました」
6年生(フルート)岩館 華唯梨さん:「みんなで喜んだり泣いたりして、うれしかったです」
11人の快挙に町は沸きました。ただ休む間もなく、10月に開催される東日本大会に向け、練習再開です。目指す目標があって、仲間がいるから…。
まだ、まだ、11人の奏でる音楽は止みません。
コロナ禍の吹奏楽部 小学生11人「部活動制限」の逆境乗り越えて見事決めた"金賞" 次なる目標へ (21/10/02 11:00)
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