東京電力福島第一原発事故の収束作業で被ばくしがんを発症したとして、札幌市の元作業員の男性が東電や国に約6500万円の損害賠償などを求めた裁判で、札幌地裁は5月13日、請求を棄却しました。
札幌市の63歳の男性は2011年7月から10月、福島第一原発でがれきの撤去作業などにあたり、その後膀胱がんや胃がんなど3つのがんを発症。がんは作業による被ばくが原因だとして、東京電力などに対し損害賠償を、国に労災を認めなかった処分の取り消しを求めていました。
裁判で国は、原告の記録上の累積被ばく線量は56.41ミリシーベルトで、労災認定基準の100ミリシーベルト以上に達しておらず、発症までの期間が5年以上とする中、男性が2年以内に発症し認定基準にもあてはまらないとして、被ばくと発がんの因果関係を否定していました。
原告側は「被ばくと発がんの因果関係を巡る基準が今のままでいいのか。男性の実際の被ばく線量はもっと多いのではないか」と主張し、約6500万円の損害賠償を求めていました。
札幌地裁は13日の判決で、「原告の被ばく線量は小さなものにとどまる。喫煙や飲酒をしていることも考慮し、被ばくから発症までの潜伏期間からみても発症と因果関係は認められない」などとして、原告の請求を棄却しました。
がんになった福島原発作業員を巡る判決は全国で初めてです。
判決後、原告団は会見し「被ばくの実態を軽視し形式的に基準をあてはめただけで到底承服できない。100ミリシーベルトという国の基準だけがすべてではない。命がけで作業したにも関わらず、がん発症後は東京電力や厚労省からたらい回しにされた思いを考慮していない」などと判決を批判。
「いまの廃炉に向けて過酷な環境で作業に従事する労働者約6000人のうち、約9割は下請け労働者で、声をあげたくても上げられない立場の労働者。判決は被害回復の道を閉ざすものだ」として、控訴する方針を示しました。
福島原発"がれき撤去作業後"に発がん…「被ばくとの因果関係なし」元作業員の請求棄却 (21/05/13 11:22)
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