アメリカのフルサイズバンの魅力は、単に「大きいクルマ」というだけではありません。アメリカの生活や価値観そのものを背負った乗り物なんです。代表的なのは、シェビーバンとダッジラムが挙げられます。
最大の魅力は、“道具感”と“アメリカ感”が両立していること。日本のミニバンは「快適」「便利」「家族向け」に進化しましたが、アメリカのフルサイズバンはもっと無骨です。巨大な箱に、大排気量V8を積み、「人も荷物も全部まとめて運ぶ」という思想。仕事車にも、キャンピングカーにも、バンド機材車にも、サーファーの相棒にもなる。つまり、“人生を積めるクルマ”なんです。
特に2000年代以前のモデルには、いまのクルマにない独特の空気があります。鉄の塊みたいなドア、ソファのようなベンチシート、ガソリンの匂いが似合うV8、高速道路をゆったり流す乗り味
、巨大なボディが生む「王様感」。こういう感覚は、現代の効率的なクルマでは味わえません。
そしてアメリカンカルチャー、とくにルート66、モーテル文化、サーフィン、スケート、モトクロス、バンドツアー……こういうものと強く結びついています。だからアメリカンフルサイズバンには、「ただの移動手段」を超えた“旅の匂い”があるんです。
なかでも人気なのが、シェビーバンG20です。これは1960〜90年代のアメリカを象徴する“フルサイズバン”で、一言でいうと「V8を積んだ走るリビング」みたいなクルマです。
G20は、GMのGシリーズの中で“3/4トン仕様”にあたるモデル。小さいG10より頑丈で、重い荷物や大人数向け。さらに上には1トンのG30があります。特に有名なのは1971〜1996年型の3代目。この世代は25年近く作られ、アメリカの空港送迎、バンドツアー、サーフカルチャー、キャンピングカー文化を支えました。
魅力はまず、その異様な存在感です。全長5m超、横幅2m近い、ソファみたいなシート、巨大な室内、V8のドロドロ音……そして運転すると、トラックと乗用車の中間みたいな感覚。“ドッグハウス”と呼ばれるエンジンカバーが前席中央に張り出していて、エンジンの熱や振動がダイレクトに伝わってきます。
バブル期の日本では、G20が“成功者のアメ車”として大人気になります。特に人気だったのが、豪華コンバージョンで、装備はまるでラウンジ。間接照明、ウッドパネル、電動ベッド、TV、冷蔵庫、
ハイルーフなど、「走る応接室」状態でした。当時はヤナセでも正規販売され、700万〜1000万円級の超高級車でした。サーファー、芸能人、アメカジ好きにも刺さり、日本のアメリカ文化を象徴する一台になったんです。
そんなG20は、1996年に終了。後継として登場したモデルは、近代化されすぎて、「クラシックなG20の雰囲気」とは別物になりました。現代のクルマにない、無駄、大きさ、匂い、音、緩さ……だから今でもG20には熱狂的ファンがいるのです。
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古き良きアメリカ文化を運ぶフルサイズバンの魅力に中年が迫る
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