発がん性が指摘される化学物質「PFAS(ピーファス)」が水源から検出された岐阜県各務原市で住民の血液検査の結果が公表されました。
果たして、住民の不安は払拭されたのでしょうか?全国の水道から検出され大きな問題となっている有機フッ素化合物「PFAS」。
水をはじき熱にも強い性質があることから、フライパンのテフロン加工や電子部品の製造などにも長年使われてきましたが、2023年にWHOが発がん性を指摘。
そのほか、人が取り込むと生まれてくる子どもの出生体重の低下や、肝機能の低下、さらにコレステロールの上昇などが指摘されています。17日に訪ねたのは各務原市に住む三輪貴則さんの自宅。夫婦と2歳の娘の3人暮らし。PFASへの不安が払しょくできないと言います。
敷地内には6年前に家を建てた時に設置した水道水の浄化システムが。かかった費用は約30万円。キッチンだけでなく風呂や洗面所にいたるまで、家の全ての蛇口から浄化された水が出るようにしました。浄化するフィルターは定期的な取り替えが必要で、その費用は毎年2万円ほどかかるそうですが…。
(三輪貴則さん)
「家の中で浄水器を付けるのも考えたが、家の水全部を変えた方がいいかな、お風呂とか…」
目に見えないPFASに対する恐怖は消えず…
三輪さん一家が住む各務原市では2023年7月、市民の半数に水道水を供給する三井水源地で、国の暫定目標値=水1リットルあたり50ナノグラムの約2倍の99ナノグラムのPFASが検出されました。その後、各務原市はPFASを取り除く活性炭フィルターの設備を設置。それまでのおよそ5分の1、20ナノグラムにまで減らしました。
(各務原市 水道部 清水卓也 課長)
「(浄化設備を)稼働することにより暫定目標値の50ナノグラムは一度も超えていない。活性炭による吸着が成功」
確かに軽減する効果は現れましたが…。(三輪貴則さん)
「(風呂のシャワーから出る水は)肌に当たったり、子どもだと飲んでしまったり。やはり心配。(市も浄化設備を稼働しているが)絶対ではない。水道管を通ってくるうちにPFASが残っていたりとかもあり得る」
一度信頼を失った各務原市の水。目に見えない「PFAS」への恐怖は簡単にはなくなりません。(三輪貴則さん)
「分解できないみたいなところが、やはり怖い」
(妻の輝美さん)
「(子どもは)まだ小さいので体に良くない物を食べさせたくない、飲ませたくない」
希望者に行われた血液検査の結果発表では…
(京都大学大学院 医学研究科 原田浩二 准教授)
「20ng/mLが米国アカデミーの指針値。これを超えている人が三井水源地からの参加者においては9割近くの人が超えていた」
2月17日、去年11月に市民団体と京都大学の協力で行った希望者への血液検査の結果について報道発表が行われました。三井水源地からの水を使っている三輪さんの2歳の娘からも…。
(三輪貴則さん)
「血液の中からPFASが、これだけ出た」
三輪さん夫婦にとっては、6年前に浄化システムを設置して気を使ってきたのに「なぜ?」という思いが…。
(三輪貴則さん)
「これだけ対策しても出ているので、いつ影響が出るか怖い」今回の血液検査に参加したのは103人。そのうち、水道水から暫定目標値を上回るPFASが検出された三井水源地周辺の住民は、81人中73人と9割がアメリカの指標をオーバーしました。
同様の血液検査は2023年にも行われていて、今回が2回目。前回は三井水源地の7割以上の住民がアメリカの指標を超えていて、今回も芳しくない結果に。
医療機関からは「公費負担で継続的に血液検査を」との声も
検査に当たったPFAS研究の第一人者で、京都大学大学院の原田浩二准教授は「PFASの顕著な減少はまだ見られず依然濃度が高い状況であった」としたうえで。(京都大学大学院 医学研究科 原田浩二 准教授)
「少なくとも3~5年全く取らなくなれば体から半分くらいは出ていくといわれているが。全く取らなくなるという状況は、なかなかない。(PFASが)体から、しっかり出ていくのには、まだまだ時間がかかるだろうと。対策の効果が出たかどうかも含め、ある程度、中長期的な目標も必要だと思う」検査を主催した岐阜県の医療機関で組織する「岐阜県民主医療機関連合会」は今回の結果を踏まえ…。
(岐阜県民主医療機関連合会 土井正則 事務局長)
「血液検査が、どの程度(PFASに)さらされているかを明らかにする上では有用。それを公費で、ちゃんとやっていくと同時に、やはりなかなか(血中濃度が)減っていかないということもあるので、年度ごとに追跡調査も含めて要望していきたい」
事務局は1人あたり1万円以上かかる、この血液検査を今後は公費負担にし、大規模な調査を行って実態を把握するべきではと話します。
国は暫定目標値から強制力のある“基準値”に切り替えるが…
一方、各務原市とは違って岡山県の吉備中央町は去年11月から12月にかけ、PFASの血液検査を公費で実施しました。町の思いは…。(岡山・吉備中央町 山本雅則 町長)
「対象者の人々は心配が大きいと思います。長期にわたって、しっかりとお支えし寄り添って少しでも不安の解消に努めていく」
この時の検査では町民709人の9割がアメリカの指標値を超えたことが判明しました。しかし、国は…。
(環境省 浅尾慶一郎 大臣)
「現時点の知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるか明らかになっておらず、血液検査の結果のみで健康影響を把握することは困難。国内外の知見の収集を推進するとともに、化学的に評価可能な疫学調査を推進していきたい」各務原市の住民の気持ちを思えば、もどかしさを感じる環境大臣のコメントでしたが、国は先月に1リットル当たり50ナノグラムという暫定目標値を単なる目安にするのではなく、強制力のある「基準値」に切り替える方針を決定しました。早ければ再来年から水道事業者などに水質の維持が義務付けられます。2020年度以降、PFASが水道水や地下水から検出された自治体は14。
世界的な問題となっている今、日本でも本腰を入れたPFAS研究や対策が求められます。
詳細は NEWS DIG でも!↓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/1740574
「いつ影響が出るか怖い」 血液検査をした住民の9割が指標を上回る結果に 化学物質「PFAS」が水源から検出 岐阜・各務原市
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