増え続ける外国人観光客の受け入れを目的として11年前に始まった『特区民泊』。利用客のゴミの出しや騒音などによるトラブルが右肩上がりで増えていて、規制強化を求める声が強まっています。対象施設が特に集中している大阪市は25日、専門チームを立ち上げ、対応に動き出しました。
■新築マンション200室 全て民泊
14階建ての高層建築。天然温泉付き全212室。外観も設備も高級ホテルを思わせる佇まいですが、この建物丸ごと民泊です。
台湾からの観光客
「立地がとても良い。ホテルより“日本人の暮らし”を体験するために民泊にしました。値段もホテルよりお手頃です」
近隣住民も計画を知って驚いたといいます。
特区民泊に反対する住民有志の会代表
「ものすごいインパクトが最初はありました。全部を民泊っていうのは聞いたことなかったので。どういう形で運営するのか」
先月末に開業した、この施設は国家戦略特区の制度を活用した『特区民泊』として運営されています。特区民泊には、営業日数の上限やフロントの設置義務がなく、ホテルや旅館などよりも緩やかな要件で営業できるメリットがあります。
特区民泊に反対する住民有志の会代表
「少しずつ人が増えてきているので、交通は小さい子ども多く危ない。路上駐車が増えている印象があるんですが、事業者さんにも申し入れをして適宜、対応してもらっています」
事業者も、住民の不安に応える形で協議の場を設けるなど、地域との対話に取り組んでいるといいます。
■市への“苦情件数”4.5倍に急増
大阪市が特区民泊を導入したのは2016年。コロナ禍で落ち込んだ観光需要が回復する中、施設数は急増し、今や6000件を超える規模に。全国で特区民泊を導入している8つの自治体のうち、その9割以上が大阪市に集中しているのが実情です。
民泊が増えると共に、地域とどう向き合うかという課題が浮き彫りになっています。例えば、ごみの問題。民泊の前のごみ箱には、入りきらないごみが外にあふれていました。市によると、こうしたごみの保管庫が設置されていない施設や、宿泊者による路上のポイ捨ても多いといいます。
そして、騒音の問題です。
近隣住民
「たまにうるさい時がある。子どもの声がね。ベッドが2段になってるのか、階段から飛び降りるのか知らんけど、何回もドンドンってすごくうるさいから、腹立つから『うるさい』って言いに行ったけど、日本語が分からん人やから」
市に寄せられた苦情は2021年には88件でしたが、2024年には400件と4.5倍に増えています。その内訳は、制度上認められていない「1泊滞在」が最も多く、ごみの放置が103件、騒音が87件。いずれも生活環境に関わるものが目立ちます。
住民が事業者に苦情を言おうにも、そもそも電話がつながらないケースもあるといいます。
近隣住民
「業者の人は責任者の名前と電話番号『何かあったら電話ください』と言うけども、本人が電話に出てくれないんですよ」
■「家賃ほぼ倍」“民泊部屋”転換か
民泊を取り巻く状況が暮らしそのものに影響を及ぼすケースも出ています。大阪市にあるマンションでは、管理会社が変わったことをきっかけに、住民に大幅な家賃の引き上げが伝えられました。
値上げを通告された住人
「封書が届いた。突然。1カ月後くらいに家賃がほぼ倍に上がりますと。え?てなりましたね。本当に」
3LDKで10万円ほどだった家賃は18万円に。引き上げを機に退去した部屋が次々と民泊になっていることから、住民は事実上の立ち退きと受け止めています。オーナーとの話し合いの結果、引っ越しを前提に、家賃は据え置きとなったものの、今も不安を抱えながら暮らしています。
値上げを通告された住人
「引っ越せないし、次何が来るんだろうという感じ」
■『民泊対策PT』初会合
こうした声を受けて25日、大阪市の特区民泊の見直しを進めるプロジェクトチームが会合を開きました。
大阪市 横山英幸市長
「一定の苦情の件数が出ているので、その苦情が例えば万が一にも対応ができない、実効性のある対応ができない等の課題があるのであれば、これは実効性を持たせていく。要は指導権限の強化」
住宅地域でのトラブルが相次いでいることから、民泊の立地を住宅地域以外に限定する案も出ています。今後、国などの関係機関と協議を進め、9月をめどに一定の方向性を示す考えです。
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp
市への“苦情件数”4.5倍に急増…『特区民泊』大阪市が“対策”協議【報道ステーション】(2025年7月25日)
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