トランプ関税をめぐる日米交渉が妥結し、石破総理大臣は「これまでの努力の成果だ」と胸を張りました。ところが、退陣を求める自民党内の声は収まる気配がありません。23日午後、3人の総理経験者との会合に臨んだ際も「進退の話は出ていない」と強調した石破総理ですが、いばらの道が続きます。
■広がる“退陣論”総裁室で何が
23日午後1時45分、石破総理が向かった先は、自民党本部4階の総裁室。前後して麻生最高顧問・菅副総裁・岸田前総理の3人も総裁室に入りました。現職の総理大臣が総理経験者3人と一堂に会するのは極めて異例のことです。これは大政局の始まりか。党本部は異様な空気に包まれました。
23日になって石破総理が進退を判断するのではないかという見方が一気に広がったのには、大きく2つの理由があります。1つは、アメリカとの関税交渉がまとまったこと。交渉にあたっていた赤沢大臣はSNSにこう投稿しました。
赤沢亮正経済再生担当大臣のX
「任務完了しました。帰りにホワイトハウス内の階段の踊り場で、トランプ大統領と会談中の上司の写真を発見したので記念撮影しました」
皮肉にもこれが続投の大義を薄れさせました。
■“退陣要求”地方から噴出
もう1つは、党内の“石破おろし”が収まるどころか、さらに加速したことです。
自民党 中曽根康隆青年局長
「国民から最後通牒(つうちょう)を突きつけられている認識でおります。この壊滅的な状況の自民党を再生させていく。それを主導するのがまさに自民党青年局だと。今こそ我々の出番であるというふうに思っております」
全国にある地方組織をオンラインで結び、急きょ会議を開催した青年局。即時退陣を求める声が噴出しました。
自民党 中曽根康隆青年局長
「結果責任、これを考えれば即時の退陣が必要であるという声が大多数を占めた」
党本部に直接、退陣を申し入れに来たところもあります。小泉農水大臣が会長を務め、菅副総裁も所属する神奈川県連です。
自民党神奈川県連 梅沢裕之幹事長
「要は総裁、幹事長ですね。責任を誰が取るんですかって。今、私たちは地元にいますので、地元が一番疑念に感じている。責任を明確化ということで辞任が一番分かりやすいかなと」
地方での人気を拠り所の1つとしてきた石破総理。そこからのNOは政治生命に関わります。
■“ポスト石破”見据えた動きも
一方、自民党本部からほど近い赤坂の議員宿舎。高市早苗氏に近い議員を乗せた車が次々と滑り込みました。この会合で、党内情勢や今後の動き方について意見交換したものとみられます。高市氏自身は沈黙を貫いていますが“ポスト石破”の座に狙いを定め、勢力を再結集しようということのようです。
山田宏参院議員
「関税交渉が合意し、総理にとどまらなければならない理由は消えたのではないでしょうか。これを花道に退陣を」
もっとも、高市氏を支える態勢は盤石とは言えません。去年9月の総裁選では20人の推薦人を集めるのに苦労していた高市氏。ようやく集まったメンバーのうち8人は、その後の国政選挙で落選し、国会議員の身分を失いました。会合後、高市氏は麻生最高顧問の事務所を訪れ、20分ほど会談しています。次を狙うには大物議員の後ろ盾が不可欠だということを自身が一番理解しているのかもしれません。
また、同じく前回の総裁選に出馬した小林鷹之氏も、推薦人に名を連ねた議員らを集めて会合を開きました。
中堅・若手の議員を中心に両院議員総会の開催を求める動きも広がっています。
自民党 鈴木貴子衆院議員
「私からは執行部が予定している両院議員懇談会を議決権のある総会にしたうえでの開催を求めさせていただいた」
党大会に次ぐ意思決定機関である両院議員総会。総裁選を前倒して実施し、石破総理を退陣させることにつなげたい考えです。
自民党 鈴木貴子衆院議員
(Q.石破総理の進退について)
「私としては速やかな、何より潔い退陣表明が求められていると思う」
ただ、鈴木議員の父・宗男氏からは。
自民党 鈴木宗男前参院議員
「私は全国を歩いていて『裏金のけじめがついていない』厳しい声としてあった。誰も責任を取っていない。明確な責任を取らん連中が、石破さんに反発する話をするのはすり替えの議論だと思う」
■やまぬ“逆風”交わされた議論は
こうした声が渦巻く中で開かれた、石破総理と総理経験者3人による会合では、何が話し合われたのでしょうかか。
石破茂総理大臣
「強い危機感を皆で共有したということ。党の分裂は決してあってはならない等々、色んな話がありました。私の出処進退については一切話は出ていません。一部にそのような報道がありましたが、私はそのような発言をしたことは一度もありません」
■「“進退”一切出ていない」真意は
官邸キャップ・千々岩森生記者に聞きます。
(Q.総理経験者3人との会合を終えた後、石破総理は続投の意思があるとも取れる発言をしました。これをどう見ましたか)
官邸キャップ 千々岩森生記者
「石破総理は『進退の話は一切出ていない』と言っていましたが、わざわざ総理経験者3人を呼んで、今の自民党の最大関心事の進退問題に触れない方がむしろ不自然に感じます。実は出席者の1人も会談の前に、石破総理から進むにせよ退くにせよ、なんらかの説明があるだろうと話していました。石破総理自身、終わった後のぶら下がりで『党の分裂は決してあってはならないという話があった』と言っています。まさに“石破降ろし”をめぐる対立が分裂の火種ですから、関連する話は出たが、影響が大きいので口外しないと示し合わせた可能性もあります」
(Q.なぜ石破総理は「進退の話は一切出ていない」と強調したのでしょうか)
官邸キャップ 千々岩森生記者
「今の石破官邸にとって、総理の進退は非常にデリケートな問題です。23日に合意したトランプ大統領との関税協議も、まだ交渉自体は続きます。石破総理が退陣となれば、これが不安定化する恐れがあります。また、来週にも臨時国会が始まりますが、退陣する総理で臨めば野党の格好のターゲットとなりかねません。あくまで続投の構えを崩さないことが、政権運営にとって極めて重要だと考えています。ただ、自民党は8月に参院選の総括を行うとしていて、結果を受けて、執行部の進退を判断する考えを示しています。まさにここが次の焦点で、結果次第では、9月にかけて自民党総裁選へなだれ込む可能性もあるとみています」
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp
石破氏「“進退話”一切出ていない」真意は?広がる“退陣論”…歴代3総理と会談80分【報道ステーション】(2025年7月23日)
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