次々に関税を発動するアメリカのトランプ大統領に世界が翻弄(ほんろう)されるなか、企業はどう向き合っていけばいいのでしょうか。先が見えない時代に、トランプ政権の情報を独自に入手・分析する日本企業の動きを追いました。
■企業が探るトランプ氏真意
トランプ大統領
「日本には24%の関税が課されます」
「日本には30%35%か、我々が決めた関税を支払ってもらいます」
「8月1日からすべての日本製品に対し、わずか25%の関税をかけます」
「アメリカファースト」を掲げ、世界に揺さぶりをかけるトランプ政権。毎日のように繰り出される要求に、日本企業も翻弄されています。
会社員(60代)
「気持ちとしては決して明るくはない。これから未来、どういうふうに変わっていくだろうと、皆さん思っている」
会社経営者(30代)
「今まで日米の関係が続いてきたというのが、今後どうなるのか不透明だし、すごく不安はある」
トランプ政権の考え、そして本当の狙いはどこにあるのか?アメリカに拠点を作り、自ら情報を取りに行く企業が現れ始めています。
ホワイトハウスを見下ろす位置にオフィスを構える日系企業。
サントリーアメリカズ 清水梨江子ワシントン事務所長
「トランプ政権の同盟国に対する姿勢に、変化が見られる可能性はあるのでしょうか」
政権の内情に関する質問を投げかけるのは、アメリカを始めグローバルに事業を展開する飲料メーカー大手・サントリーの清水梨江子氏です。
この日、情報交換をしている相手は、かつてホワイトハウスや国防総省に在籍し、対日政策にも関わってきたアメリカ政府の中枢を知るザック・クーパー氏。
ザック・クーパー氏
「トランプ政権内に『同盟国も自分たちの役割を果たすべきだ』と考える人が増えているように感じています」
2年前、サントリーホールディングスの新浪剛史会長の号令のもと、社内に立ち上げられたインテリジェンス専門の組織。東京、ワシントンD.C.、ロンドンに拠点を設け、要人たちから情報収集して上層部に報告するのが仕事です。
清水ワシントン事務所長
「あちらがホワイトハウス。この後ろが議会になるのですが、その中間地点、議会から来やすい所として、コーヒーショップで会って、ちょっとお話聞かせてくださいと」
ワシントンという場所にいるからこそ、得られる情報があると清水さんはいいます。
「例えば2カ月前に会ってその方から聞いた情報と、2カ月後に会ってまた同じ情報をフォローアップで聞いた時に、温度感、トーンが変わっていたりすると、それはおそらく政権の中で少し方針に変化があったのかなと想像する1つのアイテムになる。定期的に同じ方に会って、温度感の違いを聞くことができるのも、ワシントンにいるからこそのメリットだと思う」
■インテリジェンス情報を経営戦略に活用
情報を集めるだけでなく、企業のトップ自らも直接、要人と対話を重ねています。
都内で会談に臨んだ新浪会長。相手は、第一次トランプ政権で国家安全保障を担当する大統領副補佐官を務めたマット・ポッティンジャー氏と、アメリカ政府などに戦略的なアドバイスを行っている中国の専門家、ジョン・ガルノー氏です。
新浪会長
「つまり、アメリカはイスラエルに対してバンカーバスター(地中貫通爆弾)の使用を許可するということになるのでしょうか」
マット・ポッティンジャー氏
「アメリカ自身がバンカーバスターを投下することになると思います」
新浪会長
「本当ですか?なんてこと…」
取材当時、中東ではイランの地下核施設を巡り、アメリカが実際に軍事行動に出るか否か世界が注目していました。政権中枢を知る要人は、その後の動きを正確に予測していたのです。
マット・ポッティンジャー氏
「イスラエルの航空機は小さすぎます。バンカーバスターを運ぶには、B-2ステルス爆撃機のような重爆撃機が必要です。もしアメリカがイスラエルに我々の爆撃機を貸与するということになれば、それはかなり注目すべき展開になるでしょう」
一見、軍事や外交など経営と遠い話のように思えますが、物流や調達などに直結する“経営上の重要な情報”です。
実際、サントリーはヨーロッパから仕入れている原材料の輸送ルートをスエズ運河経由からアフリカ南端の喜望峰経由に変更。インテリジェンス情報を会社全体の経営戦略に生かしています。
■企業に今、求められていることとは?
先が読めない“トランプ時代”を企業はどう生き抜けばいいのか?新浪会長に直接話を聞きました。
新浪会長
「今まではどちらかというと見やすい風景だったんですが、トランプ大統領のように、ある意味じゃ“エモーション(感情)”というものも結構あったりする。そうなってくると、周りからの情報だとか、今の心情だとか、そういうものを探っていかないといけない。私たちであれば、生産している地域でそれをどう動かしているかというサプライチェーン。これをどう考えていったらいいかというのを考えなきゃいけない」
インテリジェンス活動によって、トランプ政権の強硬策がEUとアメリカの対立を激化させることを見越して、関税引き上げ前にアメリカ産のバーボンの在庫およそ1年分をヨーロッパに積み上げておくこともできたといいます。
企業に今、求められているのは、点と点をつなぎ“何が起こり得るか”を先回りして想像する力だと新浪会長は言います。
新浪会長
「(Q.直接会うことに意味があるのでしょうか?)あると思う。あと、事の整理。一体、何がぐちゃぐちゃって起こってます。これを整理すると、何が起こっているかということが分かりやすくなります。どのボタンを押していったらいいかというあたりがよく分かるようになってくる」
「(Q.それは対話で生まれるのですか?)対話で生まれる。インテリジェンスというのは秘密の情報を得るということはなかなか難しい。色んな情報を集めることによって、点を線にしていくということがインテリジェンスだと思います」
(「グッド!モーニング」2025年7月16日放送分より)
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp
トランプ時代…生き残りかけた舞台裏 トップ自ら情報収集「心情を分析」先回りで決断【もっと知りたい!】【グッド!モーニング】(2025年7月16日)
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