20年以上、止まっていた時が動き出すかもしれません。2001年から日本産牛肉の輸入を停止している中国が、輸入再開の最終段階に入りました。棚上げにしていた日中の協定を11日付で発効。なぜ今、中国はこのような動きをみせているのでしょうか。
■“習近平政権のキーマン”と会談
開幕から90日目を迎えた大阪・関西万博。拍手に迎えられ、中国パビリオンにやってきたのは何立峰副首相です。11日に開催された中国のナショナルデー。そこは同時に外交の舞台となりました。会場にやってきたのは自民党の森山幹事長。何立峰副首相と握手を交わします。両者はイベントを前に会談を行っていました。片や習近平国家主席の側近として経済政策を担当する副首相。片や日中友好議連の会長を務める自民党の幹事長。立場の違う2人の会談後、1つの“成果”と呼べるものが出てきました。
自民党 森山裕幹事長
「長年の懸案でありました牛肉の輸出の問題について、1つの前進を見ることができました。24年ぶりに中国への牛肉の輸出が始まることにつながっていく」
■協定発効で再開の“最終段階”に
11日に政府が発表したのは日本産牛肉の輸出再開に向けた関連協定の発効です。日本産の牛肉は現在、中国へ輸出できない状態です。しかし、食への欲望は国境を越えます。東京・銀座にある焼肉店では、お客さんの半数以上が中国人だということです。
中国人観光客
(Q.日本旅行の目的の1つは“和牛”)
「YesYes」
(Q.日本の和牛はどういうイメージ)
「口当たりがよくて、口に入れるとすぐとろけます。新鮮ですし、中国の肉のように硬くありません」
■『BSE』から24年間“禁輸措置”
そもそも、どうして中国への輸出ができなくなったのか。時は四半世紀近くさかのぼります。世界を震撼させたアメリカ同時多発テロ。その前日、農水省が慌ただしくなっていました。
農水省 生産局畜産部長(2001年当時)
「私ども極めて日本においてBSEが発生する可能性が低いと申し上げていたが、残念ながら出てしまった」
BSE(牛海綿状脳症)。国内で初めて確認されると、中国は日本産牛肉の輸入を停止しました。その措置が24年経った今も続いています。日中両政府は6年前に再開へ向けた協定に署名していたものの、中国側で発効手続きが棚上げされていました。
■禁輸の裏で…“和牛の密輸”横行
輸入が停止されて以降、中国は経済的豊かさを手に入れました。その結果の1つとして日本式の焼肉がブームに。ほとんどはオーストラリア産の“WAGYU”ですが、中には輸入が停止されているはずの日本の和牛を提供する店も。
店員
「ここにある肉は全て密輸です」
(Q.日本のどこの肉)
「宮崎の宮崎牛ですよ」
お店で食べられるだけではありません。中国のSNSを検索すると、禁止されているはずの日本産和牛の写真がたくさん出てきます、中には密輸をほのめかす内容の書き込みも見られます。SNS上でメッセージを送ってみました。
“密輸業者”
(Q.日本の和牛ありますか?)
「はい」
(Q.産地はどこ?)
「松阪」
(Q.配送はどれくらい時間がかかりますか?)
「早ければ当日、遅くても翌々日には」
北京なら当日配送も可能だといいます。
■畜産農家“輸出再開”への期待
宮崎牛を飼育する畜産農家ではコロナ禍以降、国内での消費が落ち込み、物価高でえさ代も高騰する中、輸出再開に期待を寄せています。
畜産農家 川越哲也さん
「EU含めアメリカにも色んな国に輸出していますが、中国が加われば宮崎牛としてしっかり売っていけるのかなと。やっぱり人口が違うのも大きいですし」
24年の時を経て日本産牛肉の輸入再開へ動き出した中国。福島第一原発にたまる処理水の海洋放出を受け停止していた水産物の輸入についても、一部の地域を除いて再開すると発表するなど、ここのところ日本との関係改善を進めています。狙いは何なのでしょうか。
中国 何立峰副首相
「各国が積極的な姿勢と建設的な行動を取り、真の多国間主義を実践し、自由貿易体制をしっかり守り、世界の課題に共同で対応することを期待している」
■“水面下の交渉”狙いは
中国総局の李志善記者に聞きます。
(Q.物事が急に動いた印象がありますが、どういうことですか)
中国総局 李志善記者
「実は水面下で動きがありました。中国当局の関係者が九州の畜産関係の工場を視察するなどしているという情報もあります。再開に向けた動きは日中双方で進んでいます。そんな中、何立峰副首相が来日しています。何立峰副首相は米中交渉の最前線にいるキーマンでもあります。11日のあいさつでは“自由貿易体制を守る”姿勢を強調していて、日中共に関税交渉をめぐってアメリカと対立している中で、日本との関係を強化しておきたい思惑があります。一方、中国国内ではこのニュースはほとんど報じられておらず、米中交渉の報道とは対象的です。7月8月という終戦の季節に、中国国内で注目を浴び過ぎると、かえってハレーションが起きてしまうかもしれない。そういった慎重な姿勢も垣間見えます」
(Q.日中共に関税交渉でアメリカと対立している中で、関係改善の動きを見せるのは、トランプ大統領の存在が影響していますか)
中国総局 李志善記者
「トランプ政権と関税交渉をする中で、日米関係がギクシャクしています。中国はここにくさびを打ちたい思いがあります。中国国内も不動産不況に始まって景気があまり良くないので“貿易頼み”で、多国間の貿易強化が至上命題となっています。水産物の輸入再開もそうですし、牛肉は潜在的な市場規模は大きいと言われていて、ニーズは非常に高いです。そもそも日本との貿易総額は大きく、関係改善が進めば、中国に対する投資を呼び込んだり、国内消費を活発化させられると考えています。日本産牛肉の輸入再開に向けた今回の動きは、中国が最も効果的なタイミングで切ろうとした戦略的な“政治カード”とも言えます」
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp
中国の狙いは?『BSE』から24年間“禁輸措置”日本産牛肉の輸入再開へ【報道ステーション】(2025年7月11日)
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ