警察官をかたる特殊詐欺で実際に犯行に使用された映像です。今、こうした劇場型詐欺が急増しています。今年だけで300億円を超える被害が出ています。
■劇場型詐欺の“始まり”
総務省職員を名乗る男
「こちらの電話番号から違法なメッセージが送信されているという通報がございまして、今回ご名義である栗田様の電話すべての携帯番号および、電話番号が2時間以内に回線が停止されるという予定になっておりまして。こちらのほうから早急な対応が必要かと、ご連絡差し上げた次第なんです」
茨城県に住む栗田さん(52)のスマホにかかってきた「総務省の職員」を名乗る人物からの電話です。
栗田さん
「ちょっと、びっくりしまして…」
「(Q.印象は?)お役所にいる丁寧な方っていう印象ですね。決して棒読みしている感じでもなく」
自分の名前や携帯電話の番号まで把握している総務省職員を名乗る男は、丁寧な口調で「2時間以内に携帯が使えなくなる」と不安をあおってきたといいます。
総務省職員を名乗る人物
「この電話番号は栗田様が4月16日鹿児島市和田で契約されたと記載ございますが、これは身に覚え等はございませんか?」
栗田さん
「ないですね」
総務省職員を名乗る人物
「栗田様ご本人ではないということですね?」
栗田さん
「行ってないですから」
総務省職員を名乗る人物
「契約名が栗田様で緊急連絡先としてこちら(の番号)が記載されているという次第なんです」
縁もゆかりもない鹿児島県で携帯電話が勝手に契約され、悪用されていることを告げられる栗田さん。男は丁寧な語り口調ながら不安をかきたててきます。
総務省職員を名乗る人物
「今のところちょっと心配なのは、誰かが栗田様の情報を使って携帯番号を契約して違法のメッセージを送信しているという事実」
「同じような手法で、さらに不正な電話が契約されてしまうと、突然ご自宅に高額な請求が来たりとか、または別の携帯番号が契約されて悪さされたりすると、警察から今度は栗田様に連絡がある可能性がありますので、その場合はこちらでは対処がなかなか出来なくなりましてね」
このままだと事態が悪化し警察沙汰になりかねないと忠告されます。
総務省職員を名乗る人物
「大変失礼なのですが、本当に契約していないというのであれば、すぐに警察署に通報してこの事件を捜査してもらうことをお勧めします。いかがですかね?よろしいですか?」
栗田さん
「分かりました」
電話を総務省からそのまま警察署につないでもらうと…。
自動音声
「こちらは鹿児島県警察本部でございます。ご要件をお伺いしますので、お待ちください」
鹿児島県警を名乗る人物
「こちらは鹿児島県警察署です。事件ですか、事故ですか」
栗田さん
「今、総務省から電話がありまして、私の身分証明書を不正利用されたらしくて」
栗田さんが状況を説明すると、警察を名乗る男も丁寧な口調で不安をあおるように説明を始めます。
鹿児島県警を名乗る人物
「今の状況だと、やはり早急に対応する必要というのがあります。2時間後に(総務省)総合通信局が法的措置というのを取る予定となっています」
栗田さん
「何の警告も、きのうまで一切なしに急に止めるなんてあり得るんですか?」
鹿児島県警を名乗る男
「そこに関しては全く分からないんですけども、栗田さんが迷惑メールを送っているという形になってしまっている」
身に覚えがなければすぐにでも被害届を出すように説明されます。
■画面の向こうにニセ警官
鹿児島県警を名乗る人物
「本来であれば直接来ていただいて、被害届を出す必要があるんですけども、早急に2時間という時間の制限とかもあり、この電話で事情聴取から被害届の提出までやらせていただくことはできます」
「警察をかたる詐欺とか、役所をかたる詐欺が増えています。遠隔での事情聴取とかを行う前に、必ず私たちも法律に従って、どの警察署に通報しているのか、あとはどの警察官が対応しているのかというのを確認していただく必要があります」
そう話すと、LINEのビデオ電話に誘導。画面に現われたのは「橋本和也」を名乗る男です。画面越しに警察手帳を見せる男の服装は警察の制服のように見えます。
詐欺電話を受けた栗田さん
「いかにも警察署というバック(背景)の中に橋本という男性が映像で出てきて、後ろに指名手配犯の写真が貼ったような画像でしたけども、信じちゃってもおかしくないような映像」
栗田さんはLINEに誘導されるなど不審な点があったため「詐欺」だと見抜き、お金を要求される前に事なきを得たといいます。
この映像を元埼玉県捜査1課・佐々木成三さんに見てもらいました。
佐々木さん
「まず警察がSNSのアカウントで連絡を取ってくることは絶対にないですね。LINEで何か連絡をしてくること、また誘導してくることはまずないです」
「(Q.この警察手帳、いかがですか?)僕が見ると、これはすぐ偽物って分かりますね。警察官の桜の代紋のマークが違います。安っぽいですね。長い間手帳を持っている警察官だから見極められるので、これ(手帳が)分からない人は見極められないと思うんですよ」
警察関係者でなければ見極めることが難しいという“警察をかたる詐欺電話”。今、同じように制服姿の警察が逮捕状を示すなどして不安をあおり「資産保護」や「口座調査」の名目で金を振り込ませる詐欺が急増。今年の1月から5月の5カ月間で、被害額が316億円を超え、一日に換算すると2億円におよぶ被害が確認されています。
栗田さん
「ちょっと怖いなと思いましいて。私はなんとか分かりましたけど、親世代だとちょっと厳しいと思いますね…」
■「振り込まないと逮捕」巧妙手口
宮崎県に住む30代の女性にも、静岡県警を名乗る人物からの電話がありました。
詐欺電話を受けた30代女性
「(逮捕された)容疑者の自宅から、あなたの名義の『銀行口座のキャッシュカードが見つかりました』『あなたが容疑者として上がっているので、出頭してもらえませんか』と言われて。大阪のほうって」
自分名義の銀行口座が事件に使われ容疑がかかっているため、大阪府警まで出頭を要請されたといいます。
「すごい言葉遣いも丁寧で。本当に警察の方と疑いもせずに、ずっとお話ししていましたね」
女性は宮崎にいるため大阪へ出頭できないことを伝えると、電話は大阪府警を名乗る男につながれ、LINEのやりとりに誘導されます。
「身分証が画像で送られてきて松本なんとかっていう巡査部長」
これは実際に送られてきた、警察手帳の写真。スーツを着た男の顔写真の下には、松本武史巡査部長と書かれています。
「身分証をまずご提示して下さいと言われて、それは私が無実を晴らすためと言いますか、自分の証明をしっかりしてほしいということだったのかで、『運転免許証の表と裏の写真を撮って送ってください』と言われ送って」
女性は警察であることを信じて疑わず、個人情報を送ってしまいます。その後、大阪府警から検事へとやりとりが移り、自身の容疑を晴らそうとするものの、様子が一変。
「口調とかも2番目の方は結構丁寧だったんですけど、強気の口調で雑なしゃべり方に」
検事を名乗る男が捜査名目で確認してきたのは…。
検事を名乗る人物
「あなたの口座で不正な取引が行われてないか調査するので、すべての口座と残高を1円単位で教えて下さい」
詐欺電話を受けた30代女性
「『後々バレてしまうので嘘をつかないで』みたいなこと言われたんです。『正直におっしゃってください』って言われて。1円単位まで残高を。一番金額が大きかったのが104万円で」
女性は、素直に口座番号の下4ケタや104万円の残高などすべて1円単位で伝えてしまいました。
さらに検事は、強い語気でこう続けます。
「口座を調査するので104万円を金融庁の口座に送金して下さい」
詐欺電話を受けた30代女性
「怖かったです。震えていました。どうしようって本当に、ほぼ全財産を振り込んでしまって。自分の容疑というか疑いが晴れるならと思って。お願いします、お願いしますという感じだったのに」
一度は104万円を振り込もうとした女性。しかし、ふと思いとどまったといいます。
「なんで私が振り込む必要があるのかと我に返って…振り込まなくても調査出来ると思って」
振り込むのを渋っていると突然、送られてきたのは…なんと、逮捕状。
「もう『すぐに振り込まないと逮捕状が出てるので行きます』って言われて。PDFで逮捕状が送られてきて」
被疑者の欄には赤字で自身の名前や生年月日が記され、逮捕者の氏名の欄には先ほどまで会話をしていた警察官の名前まで。
「『いったん確認させてもらっていいですか』と言ったら『じゃあ逮捕ですよ。今からそちらに伺います。いいですか』って言われて。もう覚悟を決めて逮捕されてもいいと思って『はい』と言って」
半信半疑でしたが、不安になったため電話を切り、LINEの画面を証拠として残していると、どんどんLINEのやり取りが削除されていったといいます。
佐々木さん
「怖いのは本人の名前が書かれているのが、やっぱり不安になってしまうところだと思う」
それでも不安をあおることが目的のため、難しそうにみえる書類も躊躇(ちゅうちょ)せず、1つ1つ調べれば嘘を見破ることも難しくないといいます。
■警察本部装う「偽サイト」
電話で警察を名乗るだけでなく警察の偽サイトに誘導する手口も。こちらのサイト、警視庁のホームぺージに見えますが、実は偽物のページです。
本物のページと比べてもほとんど違いは分かりません。よくみると、本物のページにはない案件検索・情報登録という文字。銀行口座の詳細を入れる画面や暗証番号まで登録できるようになっています。
“警察をかたる詐欺電話”を受け、偽サイトで「案件検索」にまで誘導されたという男性は、こう話します。
「電話口で伝えられた番号を入力すると、凍結差し押さえ状と書かれた書類のようなものが出てきた」
書類には自分の名前など個人情報だけでなく、資産を凍結されると記載されています。
「ちょっとやっぱりドキッとしたような感じで、自分にやっぱり疑いがかけられているような、気分がいいものではなかったので」
警視庁の偽サイトについて佐々木さんは、次のように話します。
佐々木さん
「僕はここだけで、やっぱり本物か偽物かを判断できないと思いますね」
トップページは元警察官でも一見、偽物と分からないほど精巧に作られているものの、進んでいくとぺージの稚拙さがあらわに…。
「案件検索なんてまずないですね。番号で検索して名前が出るって、こんな個人情報ダダ漏れ。反マネーロンダリング指針って、なんかそれっぽいこと書いていますけど。本当にありえない。顧客の理解。警察が顧客なんて言っちゃダメですね」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年7月8日放送分より)
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp
5カ月で316億円“ニセ警察詐欺”巧妙手口「振り込まないと逮捕」「あなたの携帯が…」【羽鳥慎一モーニングショー】(2025年7月8日)
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