鹿児島県のトカラ列島近海での地震が収まりません。
3日午後4時13分ごろ、十島村悪石島で最大震度6弱を観測する地震がありました。地震の深さは20キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.5でした。
2日も最大震度5弱の地震が襲った悪石島。
島民から聞こえてきたのは、“物”ではなく“心の疲弊”についてです。
悪石島の島民
「小宝島が、きのう震度5弱でしょ。だいたい今までのパターンは、小宝島に移行して収束に向かうが、また返ってきて、朝から震度4が何回かあるのかな。また元に戻った。ちょっと先が見えません。(Q.保健師がきて心のケアは)かねてから注意しているので、保健師にそれらしい話しました。保健師も、全然、知らない人じゃない、話すことで安心する」
人口89人の悪石島では、島内全域に、一時、避難指示が出されました。
鹿児島十島村 久保源一郎村長
「避難完了で、全員無事を確認、けが人なし。(Q.島外避難の考えは)それについては、現在、検討しています。あすの段階での受け入れなど調整ついてない」
十島村は、希望する住民の島外避難は検討するとしていましたが、夜になって、こう発表しました。
鹿児島十島村 久保源一郎村長
「あす、定期船が悪石島に午前7時15分発で、希望避難者の13人を現時点で予定しておりますので、鹿児島市に避難させることになっております。1週間程度を見込んでいるが、地震の状況で延長する可能性もある」
対象は、悪石島の希望者13人で、年齢は0歳~80歳まで。鹿児島市内のホテルなどへと避難するということです。
ほかの島からも、今後についての不安の声は尽きません。
2日に震度5弱の地震を観測した小宝島。
十島村役場小宝島出張所 中村勝都志所長
「うちが震度5弱を観測する前に、悪石島で震度5弱が観測されている。隣の島で6弱が観測されていると、うちにもそのうち来るのかなという危機感。そういう備えはした方がいいのかなと」
先月21日から震度1以上の、体で感じる地震は1050回以上発生。これまで地震活動が活発だったときでさえ、300回程度だったため、3倍を超える地震が、トカラ列島近海で起きていることになります。
地震の規模でみれば、2日の震度5弱と変わらない今回の地震。なぜ、3日は、最大震度6弱になったのでしょうか。
気象庁
「(Q.今回の震度6弱。一連の地震で最大となった。強い揺れとなった理由については)深さ20キロ程度、そこまで深くないところで頻発している領域。起こった場所によって、震度計がある場所と、発生した場所が近ければ、当然、起こりやすいですし、特にメカニズム的には、そんなに変わりません。今回、たまたま震度6弱の地震を観測しているという状況」
気象庁は、収束の見通しは、まだ立っていないとしていて、今後も引き続き、6弱程度の地震に警戒が必要と呼び掛けています。
震源地から約50キロの宝島の住民も、危機感を募らせています。
島で唯一の学校では、2日、防災無線が鳴り響き、児童を中庭に避難させる場面が2度あったといいます。
広いグラウンドではなく、中庭を避難場所にしたのには、理由がありました。
宝島学園 西田裕之校長
「うちは山を抱えていて、イマキラ岳という山なんですけれど、もし、大規模な地震があって、土砂がきたりしたら、ここは逆に、あまり安全じゃないんじゃないかと。中庭の方が、校舎もありますし、もし、土砂が崩れてきても、この校舎が土砂から守ってくれるかもしれないと」
大人以上に、子どもの不安な気持ちは、高まる一方です。
宝島学園 西田裕之校長
「不安を抱えたり、きょうは『少し眠れない』という子どもたちもいた。子どもたちの命を預かっているので、落ち着いて、一つ一つ、きちんと対応していかなければいけないと」
◆海底で何が起きていて、今後はどうなるのでしょうか。
震源近くの海底に詳しい海洋火山学者で熊本大学大学院の横瀬久芳准教授に聞きます。
(Q.3日、最大震度の地震が起きたことをどう見ていますか)
横瀬久芳准教授
「地震と震度の違いを考えるときに、震源の破壊力はマグニチュードで表します。マグニチュード1違うと、破壊力は32倍になるし、マグニチュードが0.5になると、破壊力は5倍くらい違う。だから、0.1の差というのは、かなり大きいです。距離もかなり影響してきます。小宝島のマグニチュード5.6というのは大きいのですが、悪石島から遠いので、エネルギーが減衰しているということで、そこまで大きくならなかった。宝島というのは非常に硬い岩盤でできているのですが、悪石島は、海底から立ち上がってくる火山島ですので、皆さんが住んでいるところは、非常に脆弱な地盤なので、振幅が大きくなる傾向があります。それによって、そこが、震度6弱になったのではないかと考えています」
この地域の海底では、東側にあるフィリピン海プレートが、西側のユーラシアプレートの下に潜りこんでいます。そして、このフィリピン海プレートの上には『奄美海台』と呼ばれる、高さ約4キロの巨大な海底台地があります。これが、悪石島や小宝島があるユーラシアプレートの下に潜り込んでいます。
(Q.この海底台地が、このエリアの海底の特徴ということですが、どういう影響があるのでしょうか)
横瀬久芳准教授
「通常のプレート境界型地震、例えば、南海トラフ、東日本の地震とかは、プレートの境目の深いところで起きるものですが、ここのプレートというのは、すごくいびつで、デコボコがある。こういうデコボコがあるところは、そんなに多くなく、非常に珍しいところで、外国では、衝突帯と呼んでいるのです。沈み込みの固着力によって、地震の大きさが変わるのと違って、ここの場合は、浅いところで、沈み込みをユーラシア側に加えるために、活断層型の地震が多発するということです」
(Q.大きさは、巨大と考えていいのでしょうか)
横瀬久芳准教授
「大きいです。面積でいうと九州とほぼ同じくらいサイズで、4000メートルの高さを持つエネルギーがフィリピン海プレートにぶつかる、200万年前から、ずっとぶつかっていると考えてもらえれば。スケールが大きいのでなかなか考えませんが、そういうのが、いま、起こっていることです」
横瀬先生によりますと、海底台地がぶつかることで、ユーラシアプレートには多くのひずみが生じます。特にひずみがたまりやすい所には活断層ができるそうです。その活断層は悪石島と小宝島の間にあります。この付近で地震が多く発生しています。
(Q.このエリアは、普段から地震が多い印象ですが、今回もメカニズム的に同じことが起きているのでしょうか)
横瀬久芳准教授
「そうだと思います。活断層が頻発するところは、地形的なギャップが生じるのですが、この海底地形においては、そういう地形的特徴が認められるので、恐らく、200万年前からじわじわと地形がつくられ、今も、それが継続しているだけだと思います」
(Q.最初は北側の2本の活断層が動いていて、南にある3本目が動くようになっているということですよね)
横瀬久芳准教授
2021年と2023年の群発地震では、北側の2本を主体とした地震活動だったのですが、3本目の地域というのは、いままで、
全くやっていないかというと、そういうわけではなく、3本目だけが、少し動くということもあります。恐らく活動周期が北と南で違っていて、それによって周期が全くあってしまったと思います。
(Q.収束までに時間はかかるのでしょうか)
横瀬久芳准教授
「大きな地震が起きると、余震という形で、傷跡を癒しているわけですが、一番、大きな地震が起きていますので、そこから2週間くらい、震度3とかの地震が起きるのが、いままでのパターンです」
(Q.南海トラフ地震との関連はないと考えていいのでしょうか)
横瀬久芳准教授
南海トラフは、プレート境界型の固着したものが壊れるやつで、その場合、想定しているのがマグニチュード8くらいです。ここで起きているのはマグニチュード4くらいなので、マグニチュード4違います。破壊力が百万倍違う。ですから、百万分の1の力で
というふうなことになります。
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp
13日間で“1000回超”なぜ頻発…悪石島で震度6弱 あす希望者の島外避難へ【報道ステーション】(2025年7月3日)
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