攻撃の応酬が続いていたイスラエルとイランをめぐり、アメリカのトランプ大統領は「双方が停戦に合意した」と発表しました。しかし、停戦開始後、イスラエルはイランからの攻撃があったと主張し、反撃を宣言。こうしたなか、トランプ大統領は「双方に停戦違反があった」と不満をあらわにしました。
■イラン報復攻撃は“抑制的”か
カタールにある中東最大のアメリカ軍基地に向けて次々と発射される弾道ミサイル。ただ、その数は全部で14発。イランに撃ち込まれたバンカーバスターと同じ数だということですが、13発が迎撃され、基地に損害はなかったとみられます。
史上初めてイラン本土を空爆したアメリカに対する報復攻撃としては、かなり抑制的。しかも、攻撃を事前に知らせていたようです。
トランプ大統領のSNS
「イランの事前通告により、人命が失われることも負傷者が出ることもなかった。彼らに感謝したい」
戦端が開かれた13日、奇襲攻撃を仕掛けたイスラエルに対し、イランは200発の弾道ミサイルで報復攻撃を行っていました。それに比べると圧倒的に規模が小さかったアメリカへの報復。しかも数日前、この基地にあったアメリカ軍機が移動していたことが各メディアで報じられていました。イランもそれを知らないはずはなく、あえて損害の出ない攻撃を選択したとみられます。
■「“12日戦争”は終結」突然の発表
そんな“報復攻撃”から数時間後、トランプ大統領の発表に世界は驚愕することに。
トランプ大統領
「皆さんおめでとう。イスラエルとイランが12時間の完全かつ全面的に停戦することで合意した。24時間後“12日戦争”は正式に終結し、世界はこれを称賛するだろう。イスラエル、イランの忍耐力と勇気、英知をたたえたい」
トランプ大統領いわく、まず双方が6時間以内に現在行っている軍事作戦を終了。段階的に停戦を開始し、24時間経った時点で停戦状態が続いていれば“終戦”ということのようです。すると、“いまのうちに撃てるものは撃ってしまおう”とでもいうように、最初の6時間で双方の応酬が続きました。
CNN プレイトゲン特派員
「テヘラン上空の激しい対空砲火を目の当たりにしています。対空砲の曳光(えいこう)弾が空に向かっています。爆音もさることながら、対空砲火が首都上空をまぶしく照らしています」
それでも期限の6時間が経過すると、イラン国営メディアは「停戦が始まった」と報道。イスラエル側も声明を出しました。
イスラエル首相府の声明
「イスラエルは全ての作戦目標を達成しました。目的達成を受け、トランプ大統領が提示する2国間の停戦案に同意しました」
これで双方が停戦案に応じたことになります。
市民
「今朝、停戦のニュースを聞いてうれしかったですが、週末の空爆で家を破壊されたので、私と家族にとっては少し遅かったです。それでも停戦するに越したことはない。イスラエルとイラン、中東にとって新しい一歩になることを願っています」
「2日前に大きな被害を受けたばかりで、イランを信じるのは難しく、複雑な思いです。平和と平穏を望んでいますが、達成できる確信がありません」
■合意後に早速…停戦違反か
トランプ大統領も気が気でないのか「停戦を破るな」と釘を刺していましたが、その懸念はさっそく当たってしまうことに。停戦開始から4時間も経っていないタイミングで“イランが停戦を破ってミサイルを撃ってきた”とイスラエル軍が主張しました。しかしすぐさま、イラン側が否定しています。
イラン国営テレビ
「イラン軍参謀本部は、停戦後にイランがミサイルを発射したという情報を否定しました」
どちらの主張が正しいのか、現状、判断は困難です。唯一分かるのは“完全なる停戦”というトランプ大統領の理想が不安定な薄氷の上に立っているという現実です。
■“リセット”でも双方は一触即発
バンス副大統領は停戦についてこんな表現をしていました。
バンス副大統領
「トランプ大統領はこのように言っています。『リセット・ボタンを押して、地域に長期的な平和をもたらそう』。それが当初からの目標で、この“12日戦争”は地域がリセットされた瞬間として記憶されるでしょう」
この強制的なリセットによって事態が悪化する可能性も考えなくてはいけません。停戦後の攻撃をめぐり、イランとイスラエルの関係はすでに一触即発です。
イラン最高国家安全保障会議の声明
「国民に申し伝える。イランの軍隊は敵の言葉を一切信じることなく、引き金に指をかけ、敵のいかなる侵略行為に対しても断固として遺憾な対応を取る用意がある」
イスラエルカッツ国防相
「イランの停戦違反にテヘラン中心部への強力な攻撃で応じるよう指示した。いかなる違反にも強力に対応する」
■放送禁止用語も イスラエルを批判
間に立つトランプ大統領。取材に応じた際、かつてみたことないほど不満を爆発させました。特にイスラエルに対してです。
トランプ大統領
「イランは違反したが、イスラエルも違反した。イスラエルは合意をまとめた直後に爆弾を投下した。かつてないほどだ。イスラエルには不満だ。『12時間戦闘停止』と私が言っているのに、1時間で爆弾を投下するとは何事だ。不満だ。イランに対しても不満だが、今朝のイスラエルには本当に不満だ。いうなれば、この2つの国はあまりに長きにわたり激しく戦ってきたせいで、自分が何をしているのかも****分からなくなっているんだ」
最後には放送禁止用語まで飛び出し、フラストレーション全開でNATO首脳会議に向けて旅立ちました。
■イラン・イスラエル“停戦”実現は
イスラエルとイランが停戦に合意すると発表しましたが、本当に戦闘は終結するのでしょうか。中東政治が専門の東京大学・鈴木啓之特任准教授も予断を許さない状況だとの見方を示しています。
東京大学 鈴木啓之特任准教授
「イスラエルにはイランの核開発だけでなく、イランが周辺の武装勢力の支援をすることも脅威に感じている。核開発がダメージを受けたとしても、イスラエルはイランの国家の体制転換を目指しているので、攻撃するきっかけを常に探している。停戦後も、イランがミサイルを発射したとの情報を利用して攻撃しようとしている」
安全保障が専門の明海大学・小谷哲男教授に聞きます。
(Q.トランプ大統領がいら立っている意味をどう解釈しますか)
明海大学 小谷哲男教授
「トランプ大統領は今年1月20日に就任した時、自分はピースメーカーになるんだと宣言しました。ところが、仲介をしたウクライナとロシアの停戦がうまくいっていません。ようやく今回、自分が仲介してイランとイスラエルの停戦が実現したかと思ったら、双方が違反したと。ピースメーカーとしてアピールしたい案件であるにもかかわらず、うまくいっていないので強いいら立ちがあるんだと思います」
(Q.これまで肩入れしてきたイスラエルを名指しで非難しましたね)
明海大学 小谷哲男教授
「トランプ大統領は全般的に敵国より同盟国に厳しいと言えます。特にイスラエルはアメリカの支援なしには中東で自らの安全を守っていくことはできません。そんなイスラエルが自分が仲介した停戦を破っている。同盟国ということもあり、強い圧力をかけている。イランが仮に攻撃してきても、イスラエルには報復するなと今後も言い続けて、停戦を何とか守っていこうという思いの現れだと思います」
(Q.アメリカは突然、イランの核施設を空爆していて、かなり強引な面が否定できないと思いますが)
明海大学 小谷哲男教授
「今回の空爆のやり方は国際法上、問題があったと思います。差し迫った脅威がないにもかかわらず、他国の領土を攻撃した訳ですから。国内的にも大統領権限を逸脱していたというのが一般的な見方ですので、法的にみれば問題があったと思います。ただ、イランに対して軍事的攻撃を行い、それが一応、停戦につながってきたということは一定程度、評価しなければならない。トランプ大統領の掲げる“力による平和”。この1つの事例になり得ることは、客観的に評価しなければならないと思います」
(Q.このままうまくいかずに、中東の泥沼にアメリカが巻き込まれていく可能性はありますか)
明海大学 小谷哲男教授
「可能性としては否定できません。今のトランプ政権、あるいはアメリカが中東でもう1つ大きな戦闘をする準備は整っていないと思いますので、それは何としても避けようとすると思います。引き続き、軍事的な圧力をかけながら外交も使って、今の緊張状態をできるだけ下げていきたいのだと思います」
(Q.今回のような国際法違反かもしれないやり方で物事が仮にうまく進んだとしても、これからの世界秩序が変わってしまう懸念を持ってしまいます)
明海大学 小谷哲男教授
「“力による平和”は“力が正義”という世界観に裏付けられていると思います。戦後長い間、国際ルールに基づく国際秩序をアメリカが主導してきました。そのアメリカが力が正義だと考え出したことは、国際秩序の在り方に大きく影響を与えると思います。一方で、我々がトランプ大統領にいくら力による現状変更、力が正義という考えはダメだと言っても届かない。そこは現実として受け入れて、そのようなトランプ大統領がアメリカを動かしているという前提で、国際秩序を守るために我々には何が必要なのか。これを考えるきっかけになっていると思います」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2025
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp
「国際秩序に大きく影響」“力による平和”影響は…トランプ大統領『停戦合意』発表【報道ステーション】(2025年6月24日)
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ