アメリカがイスラエルに加勢し、イランの核施設への攻撃に踏み切りました。その衝撃から1日半。イランは中東のアメリカ軍基地への攻撃を示唆するなど報復する構えで、戦火の拡大が懸念されています。
■米国の軍事介入 イランの報復は
7機のB2爆撃機が参加したイラン核施設への攻撃。最新鋭の地中貫通弾『バンカーバスター』が初めて実戦投入されたものでした。最大の焦点となっていたのがフォルドゥの地下施設です。地下80~90メートルの所にウラン濃縮施設があるとされていました。
空爆後の衛星画像を見ると、地面に穴があいているのが確認できます。数は少なくとも6つ。バンカーバスターの着弾した跡とみられています。さらに、地下施設に通じるトンネルの入り口は土でふさがれた状態になっていました。
トランプ大統領のSNS(22日)
「衛星写真が示すとおり、イランの全ての核施設が甚大な被害を受けた。まさに『消滅』という言葉がぴったりだ」
ただ、核開発を止められたかどうかは不透明です。空爆の3日前、トンネルの入り口付近に車両が連なっていました。その数16台。
イラン高官筋(ロイター通信)
「濃縮度60%のウランの大部分が、アメリカの攻撃前に非公開の場所に移送された」
アメリカによる初の本土攻撃という事態に、イランは報復を誓っています。
イラン軍 ハタミ陸軍総司令官
「革命の前も後もイランの歴史を通して、我々は繰り返しアメリカによる犯罪を目撃してきました。その度に断固たる措置を講じてきたし、今回もそれは変わりません」
報復の手段としてイランが掲げていたのが、中東のアメリカ軍基地への攻撃です。現地の人に話を聞くと…。
ヨルダンのアメリカ軍基地近くで働く人
「イランは常にアメリカ軍基地を話題にし、威嚇しているので気がかりです。どうなるか想像がつきません」
イスラエルへの攻撃は続けているものの、アメリカ軍基地を攻撃する動きは見せていません。もう1つの選択肢がエネルギー輸送の要衝となっているホルムズ海峡の封鎖です。最終判断は出ておらず、実現可能かも見通せませんが、国会が封鎖を承認したと伝えられています。
一方のイスラエルは攻撃の手を緩めていません。アメリカ軍が空爆したフォルドゥの核施設にも再び攻撃をしかけました。戦火が広がって泥沼化するのは避けたいアメリカは…。
アメリカ バンス副大統領
「戦争の相手はイランではなく、イランの核開発です。イランという国を攻撃したのではありません。民間施設も軍事施設も攻撃せず、核施設3カ所だけを狙ったのです」
アメリカ ヘグセス国防長官
「体制転換を目指した作戦ではありません。」
周辺が抑制的な一方、当の大統領は逆行するような言葉で揺さぶりをかけています。
トランプ大統領のSNS(22日)
「“体制転換”という言葉を使うのは政治的に正しくないが、もし現在のイランの体制が『イランを再び偉大に』できないのであれば、体制転換が起きてもおかしくないのでは???」
■“報復”を示唆 イランどう動く
焦点は、イランがこれからどう動くかに移ってきています。イラン情勢に詳しい慶應義塾大学・田中浩一郎教授に聞きます。
(Q.イランの革命防衛隊は「侵略者は後悔することを覚悟すべきだ」として、報復攻撃を示唆しています。中東の国々にはアメリカ軍の基地や施設が置かれていて、これが標的になる可能性が指摘されていますが、どうみますか)
慶應義塾大学 田中浩一郎教授
「イランに対する攻撃に加わっていれば、いの一番に狙われることになりますが、今回の攻撃にこれらの基地はあまり能動的に関わっていないので狙いづらいです。拡大解釈すれば、イランからイスラエルに向けて撃った報復のための弾道ミサイルなどを、ヨルダンあたりのアメリカ軍などが迎撃しているので、邪魔をしたとしてヨルダンあたりの基地は狙われやすいとは思います。ただ、最終的にアメリカを全面的な戦争に誘い込んでしまうと、イランにとって自分で死刑宣告をするようなことになるので、抑制しています」
(Q.アメリカ本土への報復は不可能ですか)
慶應義塾大学 田中浩一郎教授
「イランはそこまで届くミサイルも持っていませんし、アメリカ本土をたたけば、それこそもっとすごいことになるので、それに対するメリットは感じてないと思います。ただし、やられてはいるので、いつかは報復するというジェスチャーとレトリックは常に発していくと思います」
イランの国会では22日、海上の重要な交通路であるホルムズ海峡の封鎖が承認され、最終決定は最高指導者のハメネイ師などに委ねられています。イランはこれまでもホルムズ海峡の封鎖を示唆することはありましたが、これまで完全に封鎖されたことはありません。
(Q.イランが報復としてホルムズ海峡を封鎖することはあり得ますか)
慶應義塾大学 田中浩一郎教授
「脅しとしては有効で、油価を引き上げる効果が非常に強いです。油価が上がればガソリン価格が上がって、アメリカの大統領が一番困る方策にはなります。ただ、ここを封鎖すると、近隣のアラブ諸国などからも恨まれるので、イランにとってあまりメリットがありません。あくまでも脅しでやるか、正体が知れないところからの攻撃によってタンカーの航行が妨害され、タンカーの行き来が控える効果を発揮されれば、実際に封鎖しなくても世界経済に大きな影響を与えることができます」
(Q.イランにとって中東の国々はあまり刺激したくないですか)
慶應義塾大学 田中浩一郎教授
「刺激することで得られるものがなさ過ぎると思います。近年、アラブの国々との関係を改善することに成功しています。今回のアメリカとイスラエルがイランに軍事介入をする時も、それぞれの国はイランに対して、『自国にあるアメリカ軍基地をイラン攻撃のためには使わせない』と宣言していました。そこまで関係を修復した以上、ここで波風を立ててイランが孤立することは得ではないと思います」
アメリカのバンス副大統領は22日のテレビの番組で「戦争の相手はイランではなくイランの核開発だ」と述べて、全面戦争は望んでいないという認識を強調しました。
(Q.アメリカもイランも事態の長期化は避けたいということですか)
慶應義塾大学 田中浩一郎教授
「アメリカは強敵なので、イランは正面切って戦うことはしたくない。一方、アメリカはイランを強い敵だと思っているというよりも、ここで泥沼化・長期化してしまうと、国内で離反や突き上げをくらうことに警戒心があると思います」
(Q.お互い手打ちにできますか)
慶應義塾大学 田中浩一郎教授
「構図としては、アメリカが手を出したことで、非常に皮肉ですが成立しやすくなったと思います。アメリカが出てきていない時は、イスラエルとイランの衝突なので、イランが折れることができない状態。ところが一転して、アメリカとイランの戦闘となれば、厳しい決断になるとしても、イランの中に手打ちという選択肢が入ってきます」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2025
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp
【報ステ解説】報復攻撃は?海峡封鎖も?“軍事介入”アメリカがイラン核施設を攻撃【報道ステーション】(2025年6月23日)
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