9日に発表されたスーパーのコメの平均価格が、5キロあたり4223円(税込み)で前の週から37円値下がりしました。これで2週連続の値下がりです。こうしたなかで沖縄・石垣島では、早くも新米の収穫がスタートしています。
■“日本一早い新米”もう収穫
大地に広がる黄金色の絨毯(じゅうたん)。たわわに実った稲穂を田んぼの端からコンバインできれいに刈り取っていきます。
6月上旬にもかかわらず、すでに新米の収穫期を迎えたこの場所は、8日に史上最も早い梅雨明けとなった沖縄県“有数の米どころ”石垣島です。
山七 山田義哲社長
「順調ですね。ここまでよく順調に来たと。今年のコメは非常に良いと思います。コメの質的にも」
こう話すのは、石垣島で農業を営む山田さん。サッカーコート4面分ほどの田んぼで年に2回収穫する、二期作を行っています。
「品種はミルキーサマーです。品種的には早く成熟する品種ではありますね」
コンバインは、黄金色の野を滑るようにゆっくりと進み、刈り残った稲穂も戻って丁寧に刈り取ります。
その後、刈り取った稲穂からもみを外し、トラックに積まれた大きな袋へ移します。
山田さんが収穫したばかりのおコメを手にすると、思わず笑みがこぼれます。
「いやいや、満足です。やっと笑える。やっぱり取ってみるまで分からないもんだから」
今年初の収穫は玄米にしておよそ1トン分です。
「水分量的にもちょうど気候よくて、多分19%くらい。これから15%くらいに乾燥機で」
収穫直後のおコメは水分を多く含んでいるため、半日以上乾燥させます。翌日朝、再び施設を訪れると、乾燥させたおコメを玄米にする作業が行われていました。
通常、等級分けの検査や、精米作業も含め、収穫から店頭に並ぶまでは1週間ほど。この農家ではJAを通さず、那覇市内や東京・大阪・名古屋など全国の小売店と取引をしています。
「どうにかいいコメが取れて、今、コメがない時期ですから。新米がある程度の値段で出せればいいなと」
去年は30キロ7500円~8000円で取引していましたが、今年の新米の取引価格は…。
「(30キロで)1万2000円~1万3000円くらいになると思う」
去年と比べ金額が1.5倍ほどになる見込みだといいます。
「(5キロ)3500円くらい以内で消費者に渡れば一番いいかなと」
■“高すぎるコメ”5キロ6500円 離島苦悩
九州・鹿児島では“随意契約による備蓄米”の販売がスタート。オープン前から店には行列ができ、その列は歩道まで続いていました。
販売されていたのは、5キロ税込み1980円と“2000円を下回る”価格です。
買い物客
「買えました、無事に。子どもがまだ小さいけど、すぐになくなってしまうのでありがたい」
“随意契約米”は北海道にも。札幌の東区にある業者では手渡しでの販売に加え“ドライブスルー方式”でも販売しています。
買い物客
「よかったです買えて。ちょうど家におコメがなくなってきていたので」
「昔は普通にこのぐらい(の値段)で買えていたのになと思っちゃいます」
しかし、地域によってはいまだに備蓄米も届かず、“高すぎるコメ”が販売されています。沖縄本島から南西におよそ400キロ離れた西表島です。
小泉進次郎農林水産大臣も就任後すぐに“高すぎるコメ”について言及していました。
「(コメの価格が)一番高いところ、私が現時点で確認している限りは、西表島の6500円ですけども。離島とかロットが小さいとか、いろんな要素があったとしてもですね、やはりあまりにも高すぎる」
小泉大臣が語った、離島のコメ事情とは…。
スーパー星砂 大浜孫洋代表
「これが業務用の安いおコメで5800円ですね」
値段は5キロ5800円(税込み)です。
「(Q.備蓄米は入荷する?)入る予定は全くないですね。お客さんには安いコメを売りたいからね。かといって(店に)コメがないわけにはいかないから、高いコメでも売らざるを得ない」
商店に並んだコメに付けられた値札。5キロ6500円(税込み)です。その“高すぎる価格”は離島ならではの理由でした。
屋良商店 屋良誠一代表
「仕入れ値がどんどん上がってるなかで、周りの経費、石垣島の卸業者がありそこから仕入れるが、貨物費、港まで取りに行くガソリン代、電気代も上がったし、色んな経費が上がりその分を商品(の価格)にのせなきゃいけないので、それでどんどん悪循環で(価格が)高くなっていっている状態です」
島への唯一の輸送ルートである“船便”などの値上がりもあり、5キロ6500円もの高値になったといいます。
価格の高騰はコメだけにとどまらず…。たまごは10個480円、もやしは210円です。
「商店を維持するためにとなると、全部値段を上げなければいけない状態でやっているので。これが限界かな」
商店とは別に行っている観光ガイドなどの売り上げによって、どうにか店を維持しているといいます。
備蓄米が出回るなか、“高すぎるコメ”について島民はこう話します。
西表島の住人
「(コメが)高くなってからは買っていない。お昼は大体パンとか即席ラーメンとかを食べている」
「税込み5000円とか石垣でもいっていたので、4000円前半でもうらやましいと思います」
「都会よりも一番困っているところから(備蓄米の出荷を)始めてほしいです」
島のコメ農家は来週の新米収穫に向けた準備を進めるなか“高すぎるコメ”への対策にも着手しています。
大浜農園 大浜一将代表
「島でおコメ自体も生産されていますので、島にあるコメを島の人に食べてもらえる仕組みづくりを進めている」
これまでは島で作られたコメのほとんどを島外に出荷していましたが、今年の新米から、島内に一部流通させることで島の人が手ごろな値段で買えるようにするといいます。
■コスト削減 「水を張らない田んぼ」とは?
田園風景が広がる埼玉県杉戸町。ここで新たな技術を使い、大幅なコスト削減を実現したコメ作りが始まっています。
ヤマザキライス 山崎能央代表
「ここでは田植え用の稲の苗を作っているハウスです」
100ヘクタール以上の広大な土地でコメ作りを行っている大規模農家の山崎さん。早速、田んぼを見せてもらうと…。
「畑のように見えますが、節水型乾田直播(せっすいがたかんでんちょくは)の田んぼになります」
去年から始めたという「節水型乾田直播」栽培。その最大の特徴は、「水を張らない田んぼ」です。
「スニーカーでも入れますし、どこでも歩けます」
「通常であればここに水を入れて(苗を)育てるんですけども、乾いた田んぼに種をまいて終わり」
水田でコメを育てる場合、水を張った状態で水と土を混ぜ合わせる“代かき”を行い、苗を植えます。山崎さんによると、苗を持ち運びするのが重労働だといいます。
「1枚が6キロから7キロあります。1シーズンで1万枚ですと約35トンぐらいのものを運んでいる」
一方、節水型乾田直播栽培は苗を作らず、乾いた土に直接種をまくだけなので、苗を運んだり代かきをする必要がありません。メリットは他にも…。
「去年はシーズンの中で5回しか水を入れていない。それで稲がしっかり育っていくということもびっくりです」
水田でコメを育てる場合、水の量を調整する作業が1シーズンで70回ほどありましたが、節水型乾田直播栽培は、8月の暑い時期に5回ほど“適度に水を与えるだけ”で済んだといいます。
「今までやっていた田植えの大変さが、あまりにも大変すぎて。本当にミラクルだなという気持ちがいつもありますね」
作業が簡素化されたことで山崎さんの田んぼでは、4月から7月の繁忙期の労働時間が7割も削減。さらに、苗を育てたりトラクターによる代かきをする必要がないため、燃料費などのコストが6割削減できたといいます。
いいことばかりにみえる節水型乾田直播栽培ですが、種を単純にまくだけでは収穫量が半分以下に減ってしまうというデメリットがあります。
そこで、山崎さんが行っているのが、「ビール酵母資材」の使用です。
「ビール酵母資材をまぶしていきます」
これが節水型乾田直播栽培で収穫量を画期的に向上させたという茶色い液体。その正体は、ビールを生産する過程でできるビール酵母から作った肥料です。
「植物が持っている本来の本能を引き出すようなもの」
■コメ作りに驚きの新技術
植物の本能を引き出す効果とは何なのか。開発したアサヒバイオサイクルを訪ねました。
見せてもらったのは、ビール酵母資材を与えた稲の根の拡大写真です。
アサヒバイオサイクル 今林寛和さん
「我々の(ビール酵母)資材を使うと、目に見える根が長くなるだけではなく、根毛といわれる部分があるが、その量が増えてくる」
稲を水とビール酵母資材を薄めた液体に浸し、根の成長速度を比較した実験映像では、ビール酵母資材に浸した根の方がより大きく成長しているのが分かります。
ビール酵母資材を与えられた稲は、悪い菌に感染したと勘違いし、養分をたくさん吸収しようと細かい根を張り巡らせるといいます。
今林さん
「根毛の量が増えるということは、栄養成分の吸収が良くなってくる。(コメの)粒の数が増えてくることが確認できています」
ビール酵母資材を種に吹き付けるだけで、節水型乾田直播栽培でも水田と同じくらいの量のコメが収穫可能になったのです。
その将来性について、アサヒバイオサイクルの上籔寛士さんはこう話します。
「手間暇を極力抑える節水型の新しい稲作において、このビール酵母資材が救世主になると考えております」
一方、山崎さんは次のように話します。
「企業もコストが下がるコメであれば、参入できるんじゃないかと思いますし、いろんな方が稲作に関われる環境というのが、こういったこと(節水型乾田直播栽培)でできていくのかなと思います」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年6月10日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
新米収穫開始も…離島は“高すぎるコメ”に苦悩 驚きの新技術でコメ作りコスト削減も【羽鳥慎一モーニングショー】(2025年6月10日)
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