「無制限に放出する」としている政府の備蓄米がなくなった際の対応について、小泉農水大臣は6日「海外からの緊急輸入も選択肢」だと打ち出しました。強気の姿勢の背景で今、卸業者間のコメの取引『スポット取引』の価格が下がり始めています。この動きはコメの小売価格の押し下げにつながるのでしょうか。
■「卸の利益500%」広がる波紋
小泉進次郎農水大臣
「500%の利益ってどういうことなんだろうと普通は思うじゃないですか」
6日も気炎をあげる小泉農水大臣。ことの発端は5日の国会でした。
小泉進次郎農水大臣
「今、社名は言わないが、卸の大手の売上高・営業利益これを見ると、ある会社は売上高は120%を超え、前年比が。そして営業利益はなんと対前年比500%ぐらい」
去年に比べて営業利益が5倍になった会社があると指摘。卸業者に矛先を向けました。
小泉進次郎農水大臣
「集荷業者から卸に流れ、そしてその卸が小売りに流して、そういうルートの中で一体いくらで販売をしてるのか、どれぐらいのマージンを取っているのか、こういったことも含め、やはり気になるところ。そういったことも含めて一つひとつ解明をしていく」
さらに言及したのは、備蓄米が足りなくなった場合の海外からの輸入についてです。
小泉進次郎農水大臣
「この緊急輸入、こういったことも含めてあらゆる選択肢を私は持って迎えたい。鳥インフルエンザで卵がないといったらブラジルから卵を入れている。そしてキャベツがかなり高騰していた。あの時、相当中国も含めて海外から安いキャベツを入れていた。一般的にやられていること、コメについてはどうなんだ。こういった時に聖域化、タブー視、こういったことが今までずっとあったんじゃないか」
攻勢を強める小泉大臣。6日も、政府が卸を介さず、小売りに直接コメを売り渡すことの意義を強調しました。
小泉進次郎農水大臣
「6月下旬から7月にかけて、今と比べて相当な量が世の中市中に出回っていく」
街のスーパーで撮影された写真を見ると、先月21日は棚にコメの袋はあまり並んでいません。しかし、その10日後の31日には、同じ棚にびっしりとコメが並んでいます。
■コメ卸『スポット価格』下落
さらに、今後のコメの価格を占うかもしれない、ある数字に影響が出始めています。秋田県でコメの生産・加工・販売までを行う涌井さんは最近、ある異変を感じています。
コメ農家 涌井徹さん
「これが毎日コメが取引されているデータです。(60キロ)4万9000円が4万2000円。備蓄米の話が始まってから7000円下がっていますね。完全に潮目が変わった。一気に下がった」
どういうことなのか。鍵はコメの取引形態にあります。JAなどの集荷業者から卸業者を経てスーパーなどの小売店に並ぶのが一般的な取引。その流れとは別に、卸業者同士で『スポット取引』と呼ばれる売買が行われています。この取引における価格が、コメ業界においては今後の指標として注目されます。
涌井さんに届いたデータでは、去年産のあきたこまちの玄米60キロあたりの価格が、先月23日の段階で4万9000円。それが、今月5日になって7000円ほど値下がりしています。農水省は、このスポット取引における価格、スポット価格がこれまで高い値段で推移してきたことを、コメの価格が高騰した要因の1つだと分析しています。
小泉進次郎農水大臣
「スポットの方で取引が増えて“スポット価格”が上がっている。結果としてスーパーなどでの店頭の価格が上がる要素になっている」
いったいなぜスポット価格が下がることになったのでしょうか。
コメ農家 涌井徹さん
「小泉さんが出した2000円のコメが4500円の側に並んだ。4500円のコメが売れなくなる。同じ量販店に2000円のコメが並ばなくても、隣の量販店や近くのコンビニに2000円のコメが並べば、4500円のコメは売れなくなる。値下げするため、卸に『値下げしてくれ』と要望する。卸はコメを安くしないといけないので、次の人に値下げを要望する。そうなると止まらなく下がる」
高止まりから転じて下がる可能性が出てきたコメの価格。生産者としては複雑な心境を抱えています。
コメ農家 涌井徹さん
「勘違いしたら困るのは、農家はこのことでもうかった人はいない。コメをいっぱい売ってもうかった人は一部いたかもしれないが、多くの量販店も被害者。中間に入る米屋さんも被害者。みんな何だか分かんないけどコメに翻弄(ほんろう)された。そういうこと」
■「店頭価格も下がる」“前兆”に?
コメの生産や流通など農業経営に詳しい、宮城大学・大泉一貫名誉教授に話を聞きました。
(Q.スポット価格が下がったのは、政府の備蓄米が放出されたことと関係していますか)
宮城大学 大泉一貫名誉教授
「すでにスポット価格が上昇し過ぎていたので、それ以上の高値で取引をしようとする卸売業者が少なくなっていた。さらに、小泉農水大臣が随意契約で備蓄米を放出して以降、安価な備蓄米が出回ったことによって、コメ全体の価格が下がるのではないかという心理が働き、卸業者間の高値取引が成立せず、取引価格が下がった。政府が目指していた“備蓄米放出による値下げ効果”が出始めている」
(Q.スポット価格が下がり続ければ、店に並ぶコメの価格も下がりますか)
宮城大学 大泉一貫名誉教授
「店頭の小売価格も下がる可能性がある。スポット取引は、コメの取引全体の数%に過ぎないが、卸売業者の重要な指標で、価格に及ぼす影響が大きい。ただ、実際に店頭価格が下がるには時間がかかる。小売業者がすでに高値で仕入れた分のコメを売り切っていないため、仕入れ済みのコメを高値のまま売るか、値下げして売るか。各小売店の判断次第で価格反映のタイミングは変わってくる」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
店頭価格も下がる“前兆”?コメ卸売業者重要な指標『スポット価格』が下落【報道ステーション】(2025年6月6日)
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