全国で900万戸あるという空き家。総住宅数の7~8軒に1軒の割合です(2023年時点)。しかもこのまま放置すれば、2043年には4軒に1軒が空き家になるとも予測されています。
そんな深刻な状況に対応しようと、大阪・寝屋川市が打ち出したのが独自の新税「空き家流通促進税」、いわゆる"空き家税"です。
そもそも"空き家税"とは何か。なぜこれまで空き家は放置され続けてきたのか。行政キャップの高橋大作記者と“深掘り”します。
1998年時点で576万戸だった全国の空き家数は、2023年には900万戸まで増加。今後さらに増加ペースが加速するとみられています。
その背景には少子高齢化や家族形態の変化もあると考えられています。かつては結婚しても実家で祖父母と同居するのが一般的でしたが、今は独立してマンションに住む世帯が増えています。
放置された空き家が抱えるリスクは、建物の老朽化による倒壊だけではありません。
・ 火災:草が生い茂った空き家は火が燃え広がりやすく、初期消火が遅れるリスクがある
・ 犯罪:管理されていない空き家が犯罪の隠れ家に使われる可能性がある
・ 害虫・害獣:管理が行き届かない場所が野生動物の根城になるケースがある
・ 景観悪化:放置された空き家が増えると、町全体の資産価値が下がる
実際に空き家が大規模火災につながった事例もあります。去年11月、大分・佐賀関で発生した大規模火災では、焼損した約170軒のうち約4割が空き家だったことがわかりました。
高橋記者
「外から見ると気づきにくい"隠れ空き家"も多く潜んでいる可能性があります」
そもそも、なぜ空き家は放置されてしまうのでしょうか。
その一因が固定資産税の仕組みにあります。土地の上に建物が建っていると、その土地にかかる固定資産税が最大6分の1に減免されます。つまり、使わなくなった家でも解体してしまうと、かえって税負担が増えてしまいます。 解体には高額な費用もかかるので、支出を減らすためにも空き家を解体しない人が多いという事情があります。
大阪・寝屋川市は、高度経済成長期に大都市へ通勤・通学する人たちのベッドタウンとして宅地造成が進みました。当時20〜30代だった現役世代が、今では70~80歳となっています。2023年時点で空き家率は13.3%ですが、今後さらに加速する可能性があります。
寝屋川市の広瀬慶輔市長は「限られた土地の中で新たに人が住むために、賃貸にも売却にも出ていない空き家を動かすことで受け皿を確保したい」と話しています。子育て世代を呼び込みたい市としては、放置された空き家をもう一度市場に流通させることが急務です。
そこで寝屋川市が打ち出した独自の新税が「空き家流通促進税」(空き家税)です。課税の対象は「居住実態がない空き家」の所有者です。ただし、賃貸に出されていたり、売却中だったり、二次的利用がされている空き家は対象外です。
空き家税は、家屋と土地にかかる固定資産税に対して30〜50%の範囲で税率を決めて上乗せする形で課税される仕組みです。寝屋川市は2029年度の導入を目指していて、市内全域で導入されれば全国初となります。
同様の取り組みは他の自治体でも進んでいます。
京都市は2030年度から「非居住住宅利活用促進税」の開始を予定しています。 寝屋川市との違いは、別荘やセカンドハウスも課税対象に含まれる点です。高橋記者によると、京都市内の不動産が投資目的で購入され、住まないまま放置されるケースが増えていることへの歯止めをかけたい狙いがあるといいます。
近畿大学建築学部の寺川政司准教授は「問題になる空き家は市場活動の流れに乗っておらず、活用の見通しがない空き家だ。寝屋川市の空き家税は空き家の流通・解体・利活用を促すという視点では有効な政策ではないか」と述べています。
ただ課題もあります。持ち主にとっては解体費用の捻出が大変で、使い道も見つからないことが多い一方で、自治体や周辺住民は持ち主の同意がなければ手を加えることができません。
寺川准教授は「空き家対策は地域の問題という観点も必要だ。自治体や地域住民がもっと関与しやすい制度づくりが必要だ」と指摘します。
少子高齢化や家族形態の変化に伴い、空き家問題は今後さらに加速していく見通しで、社会全体で長く向き合う必要がありそうです。
(「newsおかえり」2026年3月27日放送分より)
大阪・寝屋川市が打ち出した「空き家税」とは 狙いは市場流通と子育て世帯の受け入れ 20年後は4軒に1軒が空き家に 放置すれば火災や犯罪のリスク【きょうの深掘り】
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ