「サナエトークン」について、金融庁が実態調査に乗り出しました。高市総理大臣の名前が用いられ注目を集めましたが、そもそも「サナエトークン」とは何なのでしょうか。また、どこかに問題はあるのでしょうか。
これまでの経緯と、暗号資産との関連について、専門家の解説とともにひも解きます。
・YouTube番組「NoBorder」から派生 京大・藤井聡教授も関与
「サナエトークン」は、YouTube番組「NoBorder」から派生したもので、「国民の声を集めて政治に届けるプロジェクトの一環」として、貢献度に応じて暗号資産(トークン)を付与すると説明されていました。
具体的には、スマホアプリ「NoBorder」を通して参加者が意見を投稿すれば、運営側からトークンが付与されるという構図です。
プロジェクトを主導したのは、起業家の溝口勇児氏です。また、京都大学大学院工学研究科の藤井聡教授も関わっていました。
溝口氏は先月26日のXに「高市さんとも親交の深い藤井教授が牽引してくださっているプロジェクトの一環。(プロジェクトの)議論の中で『参加者を広げるためにインセンティブとしてトークンを活用できないか』という声がコミュニティの有識者から上がった」という趣旨の投稿をしていました。
また、同日に投稿した動画の中で溝口氏は「"高市さんサイド”とはコミュニケーションを取っている」と説明しました。
高市総理との関係について「NoBorder」の公式Xには「『チームサナエが日本を変える(高市総理公認の後援会)』との協業で、同後援会が公認のものであるというのは紛れもない事実」と投稿され、肖像に関しても同後援会に確認のもと利用しているとしました。
・「全く存じ上げません」高市総理は関与を否定 急落ののちプロジェクト中止
しかし、今月2日になって高市総理が自身のXを更新。「名前のせいか色々な誤解があるようですが、私は全く存じ上げません。私の事務所側もどのようなものなのか知らされておりません」と関与を真っ向から否定しました。
「サナエトークン」は、「NoBorder」上の投稿について付与されるものと説明されていましたが、実際には外部で取引されていました。
「サナエトークン」は、発行された先月25日には「総理の公認」などの憶測から価格が一時跳ね上がり、時価総額が40億円を超えました(1トークン=4円台)。
ただし、今月2日に高市総理が関与を否定し、価格は急落しました。5日には「NoBorder」がプロジェクトの中止を発表。トークン保有者への補償と検証委員会設置の方針を示しました。
8日時点の「サナエトークン」の時価総額は、6億円規模(1トークン=0.6円台)にまで下がりました。
藤井教授はABCテレビの番組に対しコメントを出し、「高市総理はじめ関係各位にご迷惑おかけする事となり心から深くお詫びします」と陳謝したうえで、「当方が研究してきた国民意見集約をアプリを通して高度化するプロジェクトを推進・推奨していました。しかし、当方の理解と異なりアプリと関係なく外部市場に大量供給され名称も未確認と判明しました」として、当初想定していたのとは違う形で流通していたと指摘しました。
「サナエトークン」について、newsおかえりが10日、高市総理の事務所に取材を申し込んだところ「『担当者が不在です』と答えるように言われています」との返答でした。
・金融庁が実態調査 「サナエトークン」国内の登録事業者で扱いなし
「サナエトークン」について、金融庁が実態把握に乗り出しました。
「暗号資産」は2017年に新しい制度が始まり、登録制が導入されました。金融庁・財務局の登録を受けた事業者のみが国内で暗号資産交換サービスを行うことができるというものです。
しかし、暗号資産の登録を行っている国内28社の中に、「サナエトークン」を扱っている事業者はなかったのです。
・ITジャーナリスト「返金はほぼ不可能」「暗号資産は無価値」と警鐘
ITジャーナリストの三上洋さんは、有名人の名前を使った暗号資産は「投機的目的だけで作られている」と指摘します。
「サナエトークン」の問題点について三上さんは、「トークンを作ること自体は違法ではないが、販売すると法律上登録が必要。ただ、実態は誰でも簡単に発行ができ、無許可で販売されているものが山のように存在する」と指摘しました。
また、高市総理の責任について三上さんは、名前が使われていることを知っていたならば失態だと指摘します。
三上さん
「事業者は『サナエトークン』の実態をどこまで伝えていたかが問題。仮に高市総理側が名前を使われていることを知っていて、後援会側も許可したのであれば安易だし失態といえます。現状、事業者側と高市氏側の説明にギャップがあるので、それを埋める努力が両者に求められます」
(Q.事業者側は補償すると言っていますが、実行されるでしょうか)
三上さん
「前提として投機上の売買なので損失額すべての返金はほぼ不可能だと思います」
(Q.暗号資産の注意点は)
三上さん
「有名人やブランド、自治体の名前が使われていても、暗号資産は事実上無価値です。無価値なものに投機するべきではありません」
(2026年3月11日 newsおかえり)
サナエトークン騒動、何が起きている? 高市総理は関与否定 暗号資産めぐり金融庁が調査 価値は急落、プロジェクトは中止 ITジャーナリストは「返金は不可能だろう」と指摘
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