幼稚園教員の給料が下がるかもしれない。現場から戸惑いの声があがっています。
滋賀県大津市。「こども・若者の幸せな未来を築くまち おおつ」を基本理念に掲げ、様々な子育て支援に取り組んでいます。ただ、そんな子育てに関して市内では深刻な事態が起きています。それが待機児童の問題です。
20代の母親
「去年から申請しているが、第6希望まで書いてるけどずっと待機」
「(周りの友達も)みんな入れないって」
大津市の待機児童は、2年連続で全国ワースト。市はこの状況を改善するため、人材の柔軟な配置を目指そうと、これまで別々に採用してきた保育士と幼稚園教員を来年度から一本化。2月の議会では、給与体系を統一する条例案を提出しました。
この条例案によると、来年度から幼稚園教員の給与を引き下げ、保育士の水準に合わせるといいます。当面は差額を支給するといいますが、昇給額にも影響することから、実質の「賃下げ」だと懸念されています。
条例案に反対している中川哲也・大津市議
「やっぱりやる気が削がれるでしょうし、教育公務員の賃金決定の際の職務給の原則にも反すると思いますので、こういうやり方は間違いだと思っています」
県教組の試算によると、初任給は月額で約1万4000円下がり、年収で40万円以上減る人もいるといいます。
中川市議
「今働いてる方は現在の給料額が保障されるにしても、何年間か昇給停止とか。幼児教育の質が保てるのかという懸念も出てきますので…」
なぜ、給与水準を低い方に合わせたのか。大津市は「他の自治体でもこれまで給与体系の統一が行われてきた。幼稚園児が減少している状況を踏まえ、待機児童や変化する保育ニーズに対応するため引き下げる」と説明しています。
大津市民はどう受け止めているのでしょうか?
1歳の双子の孫を持つ60代
「幼稚園の先生の給料を上げてあげれば丸く収まるのに、なぜそこで下げるのかなと」
「ちょっと幼稚園の先生のなり手がなくなったらまた困るし」
60代の大津市民
「(給与を)同じにしなくてはいけないんだったらなぜ下げるのか、上の方に合わせたらいいのにっていうのは思いました」
「同じ仕事をするのに賃金を下げるって言うのはおかしいというか、当事者の方も腑に落ちないだろうし、関係ない私たちもとても変だなというふうに思います」
教職員組合は事前に大津市と労使交渉をしていましたが、まとまらないまま条例案は提出されたといいます。
大津市教職員組合・松﨑有純書記長
「現場の先生も納得できる形はないのか。市も歩み寄ってもらえるところはないのかっていう交渉を繰り返してたんですけども、打ち切りという形にされましたので、こちらとしては本当にその結果になったことが一番残念に思ってます」
現役の幼稚園の教員からは戸惑いの声が上がっているといいます。
松﨑書記長
「一番は戸惑い。説明が納得できる形ではなかった。現場では混乱と不安」
「どうすればよりよい大津市に向かっていけるのか、働く者が大津で働きたいと思える市になっていくのかを、ぜひ議会も含めて真摯に議論していただきたいなと思ってます」
大津市では、共働き世帯の増加などで、幼稚園に通う子が減り、保育所に通う子が増えた結果、保育士が足りなくなりました。そのため保育士・幼稚園教諭ともに、約10年前の採用から両方の資格・免許を持っていることが必須になりました。
そして来年度からは、保育士と幼稚園教員を同じ職種で一括採用することになり、教育保育職というものが設けられました。つまり、保育士と幼稚園教員の給与を統一することになりました。
これまで、幼稚園教員の給与よりも保育士の給与の方が少なかったため、保育士の給与に合わせることになり、幼稚園教員の給与が引き下げられることになったということです。
引き下げという決断をしたことについて、大津市は「約10年前に一体化した自治体の多くが、保育士の給与に合わせていた。それを参考にした結果、引き下げるという決断をした」と説明しています。
『newsおかえり』コメンテーターのてぃ先生
「‟保育士の給料を上げる議論”が必要なのに高い方を下げてそろえた。子どもに関わる仕事の価値を自治体が下げる前例を作ることになる。子どもに関わる仕事の価値を低く見ているのは国全体の問題でもある」
幼稚園教員の給与が実質“賃下げ”に? 待機児童2年連続ワースト・保育士不足の滋賀・大津市で一体何が 現場からは戸惑いの声
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