高市早苗総理大臣は19日、衆議院を解散することを表明しました。衆議院選挙は27日公示、2月8日投開票で行われます。
「大義なき解散」との批判もありますが、支持率に影響はあるのでしょうか?高市総理は「目標は与党過半数」としていますが、達成できるのか?また、選挙互助会との批判もある「中道改革連合」の行方は?
最新の情勢分析を選挙ドットコム編集長の鈴木邦和さんと“深掘り”します。
■解散に反対している人たちが高市内閣支持から離れた
ここからは選挙ドットコムとJX通信社が実施した調査をもとに読み解いていきます。まずは内閣支持率。12月の高市内閣の支持率は「強く支持する」41.0%と「どちらかといえば支持する」29.1%を合わせて70.1%でした。ところが、1月の支持率は「強く支持する」38.4%と「どちらかといえば支持する」24.9%の合わせて63.3%で、約7ポイント減りました。
また、今回の解散は妥当だと思うかを聞いたところ、妥当と答えた人は35.5%、妥当ではないと答えた人が43.7%でした。鈴木さんによると、解散に反対する層が離れた可能性があるということです。
鈴木さん:
これは間違いなく有意な結果と言えると思います。実は高市内閣が発足してからいろんなことがあって、例えば中国に関する発言が問題になっても、有権者にはポジティブな反応が多かったんです。ただ、今のタイミングで解散することについて調査すると、反対の声の方が多かった。もともと高市内閣を支持していたという一部の層が、解散によって離れてしまった可能性があると考えています。
■「内閣支持率が票に結びつくとは限らない」
とはいえ内閣支持率は60%を超えて高い状態です。一方で、自民党の支持率は27.4%にとどまっています。ちなみに前回の衆院選時(2024年10月)の自民党支持率は33.2%でした。そのときよりも自民党の支持率は数字としては低くなっています。一体なぜここまで差があるのでしょうか。
鈴木さんによると、国民民主党支持層の9割、参政党支持層の8割、維新支持層の7割、無党派層の6割が高市政権を支持している。つまり、他党の支持層が高市政権を支持しているということで、鈴木さんは「高い内閣支持率が票に結びつくとは限らない」と分析します。
鈴木さん:
内閣支持率と自民党支持率が乖離していることは、これまでもケースとしては存在したんですが、自民党の支持率がここまで低く、かつ内閣支持率がここまで高いという状態は非常に珍しいです。
自民党というのは非常に多様な考え方を持った議員によって構成された政党で、その中で例えば前回の総裁選で高市さんを応援した人たちは政治的な考え方が近いのですが、そうではない例えば小泉さんや林さんを応援した人たちは高市さんと考え方が違うということになります。それであれば自民党ではなくて他の政党を支持するという形で、支持政党が非常にばらけているというのが今の全体の構造だと思います。
今回の衆院選は、高い内閣支持率ではあるんですが、自民党に投票してもらうかどうかというところが重要なので、2つの数字の差が結果にどう表れるかというところがポイントだと思います。
■高市総理「目標は与党過半数」達成は?
高市総理は目標を「与党過半数」としていますが、達成できるのでしょうか。最新の調査で比例の投票先について詳しく見ていきましょう。
まず自民党の得票についてですが、前回の衆院選では比例での得票率が26.7%でした。今回の調査を踏まえて鈴木さんに予想してもらった得票は30%超になるのではないかということです。石破政権の前回選挙は超えるが、岸田政権の前々回(34.7%)は超えないのではないか。議席増は予想されるものの、単独過半数には及ばない可能性が大きいとの分析です。
鈴木さん:
自民党の政党支持率26%に対して、比例投票先を聞くと電話調査で37%と出ているので、これは無党派層からの支持を得られているという調査結果になります。かなり勢いがある状況ではあります。
一方で、無党派層の乗り方をいろいろシミュレーションすると、最終的には30〜31%ほどで着地すると予想しています。現時点で選挙をやるなら、という話です。なので、石破政権の時の水準は超えるけれど、岸田政権には届かないという予想になります。
これは比例に限定した話で、選挙区だと公明党と立憲民主党が組んで、元々自民党に投票していた人たちが立憲の方に変わってきます。そうなると議席としてはさらに苦しいという中で単独過半数達成は現時点だと大変だという印象です。
ただ、今回の調査は高市さんが会見をする前に行ったものです。高市さんが会見の中で、自分の進退をかけると言ったことは非常に大きなポイントで、内閣支持率と自民党支持率のギャップを埋めるために、「とにかく高市内閣を存続させるために自民党に入れてくれ」というメッセージを発信したわけです。これは非常に強力なポイントになると思います。
■維新は大阪で盤石も全国支持は伸び悩むか
続いて自民党と連立を組む維新を見ていきましょう。日本維新の会の比例得票率は前回の衆院選で9.4%でしたが、鈴木さんの予想では今回8%前後に落ち着くのではないかということです。鈴木さんは、大阪での支持は盤石だが、ダブル選を強行した影響がどれだけ出るかは未知数で、全国では伸び悩みが予想される。議席数は微減となりそうだが、与党過半数は達成できるのではないかと分析しています。
■どうなる新党「中道改革連合」 公明票の効果は?
そうした中で、立憲と公明が立ち上げた新党「中道改革連合」についても調査を行っています。この新党について聞いたところ、「評価する」26.3%に対し、「評価しない」47.3%となりました。やはり選挙直前の合流ということもあって、このような調査結果になってしまったのでしょうか。
ただ、公明党票の影響がとても大きいということはこれまでの選挙でも言われてきました。公明党の票というのは各選挙区に1万〜2万票あるとも言われています。共同通信社の試算によりますと、前回の衆院選で公明党の票が自民から立憲に動いた場合、44の選挙区で逆転が起こっていたということです。
では今回の選挙で票の行方はどうなるのでしょうか。鈴木さんは前回の衆院選よりも内閣支持率が高く、立憲と公明の政党支持率が低下しているので、試算通りの逆転が起きるかは不透明だと予想します。
鈴木さん:
前回の衆院選との比較で、みなさん公明票だけを計算されるんですけれども、実は自民票も立憲票も全然違うんですよね。自民党のベースの得票率はかなり上がりそうで、逆に立憲民主党はかなり下がりそうです。その自民と立憲の差が公明票だけで埋まるのかというと、結構大きな差がついている状況なので、逆転というところは難しいと今のところは見ています。
ではこれを踏まえて中道改革連合の見通しについて見ていきます。前回の衆院選、立憲と公明の比例得票率を合わせると32.1%で、自民党を上回っていました。ところが今回の中道改革連合としての得票の予想は20%を超える程度で、自民党には届かない予想です。鈴木さんは、立憲・公明支持の票は取り込むことができそうだが、無党派層からの支持の低さが課題。バラバラに戦うよりはいい結果が得られるが、議席を減らすことになるのではないかと分析しています。
鈴木さん:
我々の最新の調査だと、無党派層で自民党に入れたいと答えている人は全体の3割いるんですが、中道改革連合に入れたいと答えている人は1割にとどまっています。立憲民主党は無党派票を自民党より取って小選挙区で勝ってきたっていう歴史があるので、元々の基礎票はそんなに多くないんです。政党支持率でいうと10%ぐらいしか票としてはないので、そこに無党派がちゃんと乗らないと、自民党にはとても逆転できないっていうのが基本的な構造です。今回はまだ無党派が乗るような傾向が調査からは見られないということで、少し厳しめに私としては予想しています。
■参政党2桁獲得の可能性 国民民主も好調
去年の参院選で躍進をした国民民主党と参政党も、それぞれ見ていきます。国民民主は前回の比例得票率が11.3%でしたが、鈴木さんの予想では12%程度。鈴木さんは、政党支持率は好調で議席増が見込まれるが、高市政権の支持者も多く、票が流れる可能性があると見ています。
一方の参政党は、前回の比例得票率3.4%に対し、鈴木さんの予想は12%程度。今回はほぼ確実に増加するだろうと予想していて、全国に候補を擁立しており、2桁に届く可能性もあるということです。
鈴木さん:
この2つは最近の選挙結果を見ても非常に無党派から支持が乗っていて、最後の最後に議席がぐんと伸びるような政党です。12%というのは去年の参院選で、国民民主・参政それぞれが取った比例の得票率と同じぐらいの水準なので、このままその勢いが維持できれば同じぐらいの数字は取れると思います。ただ高市内閣にもっと追い風が吹いて、無党派がもっと自民党に乗ってくるような状況になると、逆にこの2政党は失速していくので、自民党とトレードオフというような状況です。
そのほかの各党は、れいわが横ばい、共産は議席減、保守は議席減、社民は議席減、みらいが議席獲得の可能性といった見通しになっているということです。
鈴木邦和さん
日本最大級の選挙・政治家情報サイト「選挙ドットコム」編集長 元東京都議
(『newsおかえり』1月20日放送分より)
【衆院選情勢分析】高い内閣支持率も「自民票に結びつくとは限らない」 中道改革連合は“無党派支持の乗り”が悪く伸び悩みか 大躍進予想は参政で「2桁に届く可能性も」【きょうの深掘り】
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