高市総理は14日夕方にも、官邸で自民幹部や維新の吉村代表と会談を行い、衆議院を解散する意向を直接伝える見通しです。一方、吉村代表(大阪府知事)は、衆議院が解散された場合、大阪市の横山市長とともに辞職し、「大阪都構想」3度目の挑戦に向け、出直しダブル選に出馬する意向を示しています。
■大阪都構想3度目の挑戦に向け「民意を問う」 衆院解散なら“出直しW選”
強まる解散風とともに新たな動きを見せたのが吉村知事です。吉村知事は衆議院が早期に解散した場合、大阪市の横山市長とともに辞職し、出直しダブル選に打って出る意向を固めました。その狙いは3度目となる「大阪都構想」への挑戦です。
(吉村知事)「もし(都構想)に再挑戦するということなのであれば、民主的プロセスが必要だというのは、この間申し上げてきましたから」
最初の挑戦は2015年。維新の創業者である橋下徹氏が市長時代に挑みましたが、住民投票の結果わずかに反対が上回り否決。橋下氏はその後、市長の任期とともに政治家を引退しました。そして5年後、吉村知事らが再び挑むも結果が変わることはありませんでした。吉村知事は2度の否決を受け、都構想を封印したものの、足元では実現への道筋を探っていました。
ただ党の創業者からは、釘を刺す意見が相次いでいます。
(橋下徹氏のXより)
「都構想住民投票への民主的プロセスを踏むというなら、衆議院総選挙でも訴え、それとは別に知事選・市長選でも訴え、場合によっては大阪維新代表選挙でも訴えるようなプロセスが必要だと思う」
「やるにしても、ここではないと思う」
(松井一郎氏のXより)
「橋下さんも僕も都構想を実現して貰いたいが、今回の吉村さんのやり方では党内でも一枚岩とならないだろう。だからここではないと僕も思う」
■急浮上した“出直しW選” 他党は「党利党略」「意味がない」と批判
他の党も、急浮上した出直しW選の可能性に対応を迫られています。
(共産 大阪市議団・山中智子団長)
「(維新の地方議員の)“国保逃れの問題”もあるから、そこから目をそらして、新しいもので勢いづけてしまおうという党利党略というか、副首都とがらみの今やりたいと思ってる都構想だとすれば、何にも中身ってわからなくて逆に問われたって市民どうすることもできない」
3度目の住民投票に否定的な公明は…
(公明 大阪市議団・西徳人幹事長)
「やるべき物価高対策とか国民のための施策をしっかりと予算化する、その議論を後回しにして『民意を問う』と。何を問うのかと、衆院選も大義名分がないと思うし、それに輪をかけて大阪府・市は“追加・ついで”でやるような、これが果たして『民意を問う』と言えるのか、大いに疑問がある」
その一方で、国政では維新と連立を組む自民。しかし、自民党大阪府連は都構想について過去2回、反対を貫いてきました。
(自民 大阪市議団・森山禎久幹事長)
「(W選は)市民や府民にとってメリットもなければ意味もないと考えている。ただ維新はメリットがあるんですよね、おそらく。これはする意味がないので、どういう思いでしてるのか、逆に聞きたい」
「(Q.市長選の候補者は擁立しない?)横山氏が市長選に、吉村氏が知事選に再度出るとなったら、うちは付き合う必要がないと」
■大阪の街角では賛否拮抗「期待を込めて賛成」「言ってることが全然違う、信頼できない」
「newsおかえり」が街の人100人に聞いた結果は、賛成と反対がかなり拮抗していました。
(賛成・30代)「期待を込めて(賛成)、これでまた大阪が良くなってくれたらいいなと」
(反対・50代)「言ってることが全然違うやん。『定数削減がセンターピン…』と言ってるけど、初めはそんなこと言ってなかったのに。言うてることがまちまちで信頼できない」
(賛成・60代)「もう1回最後の最後で(有権者の)真意を確かめてもいいんじゃないかなって。(Q.3回目になるが?)3度目の正直じゃないですか」
(反対・60代)「吉村さんが(選挙に)勝っても、都構想に対して民意が賛成ということではないと思う。それを一緒にして考えるのはズレているのでは」
■急浮上した“出直しW選” 維新が描くシナリオとは 木原コメンテーターが分析
なぜ今、解散・総選挙が検討されているのでしょうか。3度目の「大阪都構想」を目指す維新が思い描くシナリオとは。地方自治・選挙分析が専門の木原善隆コメンテーターに詳しく聞きました。
――Q.今回出直し選挙が仮に行われたら任期はどうなりますか?
木原さん:吉村知事と横山市長がそのまま当選すれば2人の任期、つまり来年の春までです。来年の春にもう一度選挙することになる。ただし違う人が当選したら、そこから4年間の任期です。
――Q.大阪都構想2度目の否決時に、吉村知事は「私が知事でいる間は再挑戦することはない」と発言しましたが、今回早期解散となれば出直し選挙で再挑戦の是非を問うとしていますが?
木原さん:3度目の挑戦をするために、吉村知事にはどうしても越えなきゃいけない壁があります。「再挑戦することはない」と言い切ってしまっているので、再挑戦するならば、何らかの民主的なプロセスが必要だと言い続けてきた。その民主的なプロセスを、衆院選と一緒にダブル選挙を仕掛けることによってクリアしようとしてるわけですね。
■「吉村代表のための吉村代表による選挙」過去2回の“出直し選挙”との違いは
過去2回の大阪都構想の住民投票を振り返ります。
1回目の住民投票は2015年でしたが、その前年に都構想の「設計図」を作成する法定協議会で大阪府議・市議の議論が停滞してしまいました。橋下市長(当時)は市民の後押しが必要だとして、出直し選挙を行い再選したという経緯がありました。しかし、その翌年2015年の住民投票では僅差で否決となります。
2度目の住民投票は2020年です。その前年には公明との議論が難航したため、松井府知事(当時)が民意を問うとして、大阪府知事・大阪市長の“出直し”ダブル選を行い、大阪市長だった吉村さんが知事、知事だった松井さんが市長として再選しました。これで民意を得たということで、公明党の協力を得て住民投票に踏み切りました。しかし、2度目の住民投票も僅差で否決となりました。
木原さんは、もし今回“出直し”ダブル選となれば「自作自演感が強い」と指摘します。
木原さん:
過去2回出直し選挙をやっていますが、いずれの場合も法定協議会で都構想の案をある程度作っている途中でした。そこで野党の反対でうまくいかなくなったので打開するために、出直し選挙を仕掛けましたが、今回はまだ法定協議会すらできてない。
影も形もない状態で、先ほど申し上げたように吉村さんが自分の過去の発言を上書きするための選挙ですよね。まさに吉村さんのための吉村さんによる選挙というふうに見えます。
■このタイミングでの解散は「渡りに船」 維新が思い描くシナリオとは
ただ、なぜこのタイミングで選挙をするのでしょうか。
木原さん:
実は、維新の中ではプランとして出直し選挙はありました。いつやるのか探ってたところに、高市総理が解散総選挙を仕掛けそうだということで、このタイミングは維新にとっては渡りに船です。
というのは、もしこれで仮に知事・市長が再選して、国政でも一定勝利を収めれば、都構想実現のためには法定協議会を設置して「協定書(設計図)」を作りますが、大体1~2年ぐらいかかります。そうすると、来年の春の統一地方選挙のときに、同日選で住民投票もできるという、これが最短のタイミングです。
なぜこんなに急ぐかということですが、今大阪府議会・市議会ともに維新は過半数を持っています。府議会は圧倒的過半数ですが、市議会はギリギリなんですよ。市議会は定数2から6の中選挙区なので、簡単に言うと、過半数をものすごく取りにくい選挙制度です。ですので来年のこの統一地方選挙で市議会でもう一度過半数取れるかどうかは微妙なところです。だからその前に、やってしまいたいという思惑もあるわけです。
木原さん:
さらに維新は国政である程度影響力を保って自民党と交渉できるパワーを持った上で、副首都構想とリンクさせたいので、国政でも勝たなければいけません。
そのため、ダブル選挙にすれば、吉村さんは知事選の候補者として大阪中を走り回って、衆院選の維新の候補者と一緒に選挙活動ができます。今までも国政選挙のときに応援に入ってましたが、そのたびに「知事の公務はどうなったんだ」という批判がつきまとっていました。しかし今回、自分の選挙でもあるので、大手を振って応援しまくれるわけです。少なくとも大阪では全勝を目指すということで影響力を保ちたいと。維新も不祥事が続いて支持率も落ちてますので、ここで何とか風を吹かせたいという思惑もあると思います。
■維新以外の政党は候補者を立てる余裕がなく「無投票当選の可能性もある」「それで民意を得たことになるのか」
では今後、考えられる日程を見ていきましょう。衆議院解散となると、大きく2つの日程が考えられます。衆院選の公示が1月27日だった場合は2月8日投開票。衆院選の公示が2月3日の場合は2月15日投開票です。
選挙期間は公選法の規定で定められていて、衆院選は12日間、政令市長選は14日間、知事選は17日間となります。今、2月8日投開票を軸に検討が進んでいるということですが、そうなると府知事選をするためには17日遡らなければいけません。衆議院解散よりも前に府知事選を告示するというパターンも考えられるということです。
木原さん:
もう来週なので、実はこれ無投票当選になる可能性もあります。維新以外の政党は候補者を立てる余裕もほとんどないですし衆院選もあるかもしれないので、そちらの方で忙しいわけです。かつインタビューでもあったように、自民党をはじめ他の政党は「もう今回付き合いきれません」と候補者を出さないで無視する姿勢ですので、多分有力な政党は候補者を立てない可能性が大きいです。政党の候補支援のない候補者が出る可能性はありますが、それでは勝てないと思います。おそらく2人は圧勝する可能性が高いと思いますが、それで民意を得たことになるか疑問です。
(「newsおかえり」2026年1月14日放送分より)
大阪の“出直しW選”は「自作自演」 他党は候補者立てる余裕なく“無投票当選”の可能性も「民意を得たことになるのか」 過去2回の選挙と違い“中身が分からない”都構想【木原善隆コメンテーター分析】
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ