■冨名腰記者の記事
石破政権退陣、高市政権誕生…激動の政局どうみる? 政治記者座談会
https://www.asahi.com/articles/ASTDY2RRYTDYUTFK00FM.html
■冨名腰記者出演の政治深掘りポッドキャスト「報談」
https://www.asahi.com/special/podcasts/?pgid=funa
去年10月に発足した高市内閣。アメリカのベネズエラ攻撃や中国の対日圧力など、2026年は課題山積の年となります。
国内政治では、自民党は衆参両院で単独過半数をもっておらず、このままでは連立相手に苦慮することとなり、解散総選挙の可能性も取り沙汰されています。
そんな高市総理の”本音”と裏側を、朝日新聞で政治取材を20年以上続けるゼネラルエディター補佐の冨名腰隆さんが解説します。
■高市総理のコミュニケーション能力は「3」 国民支持は「10」 記者が分析するパラメーター
まず、冨名腰記者に高市総理の総理としての技量を分析し、10段階のパラメーターで評価してもらいました。
(冨名腰記者)
知識「8」、経験値「6」、国民の支持「10」、コミュニケーション能力「3」、突破力「7」と分析しました。
政治家にはいろんなタイプがあります。仲間をまとめてチームとしてやっていく人もいれば、政策を勉強して実行していくというタイプもいます。高市総理は基本的に政策を詰めて詰めて、それを実現していく政治家で、そういう意味では知識は高めにつけました。
突破力「7」は「まっすぐな性格」の現われです。根回しとか言い回しで変化球を投げるタイプではありません。「今これがやりたい。みんな協力してくれ」みたいなことを言う力がある方ですね。そういった態度が国民支持の満点にも繋がってきています。奈良県初、女性初といろんな人気の背景がありますが、ここまでの人気は小泉純一郎氏や第二次安倍内閣に次ぐ人気だと思います。
■「本音が見えない」 コミュニケーションが難しい背景は
コミュニケーション能力の「3」という評価が気になります。これについては?
(冨名腰記者)
総理周辺の声を反映させての評価です。ある自民党議員は「人当たりはソフトなんだけれども、腹を割っては話せていない」、総理の番記者は「本音がなかなか見えてこない」、そして官僚からは「資料を持って行って説明しようと思ってもさせてくれない」という声が挙がっています。
私が取材した実感でも、政治家は付き合いが長くなるにつれて徐々に深い話ができるようになっていくのですが、なかなかそれができませんでした。いつまでも壁があるという感じです。高市総理の胸の内には「裏切られるかも知れない。傷つくくらいなら距離をとりたい」という思いがあるのだと思います。信頼しているのは木原官房長官くらいではないでしょうか。
■総理執務室に入れる秘書官は「1人だけ」 高市ルールとは?
高市総理をめぐっては、秘書官との面会に「高市ルール」が存在するということですが、どういうことでしょうか
(冨名腰記者)
総理には、外務、防衛、政務など、それぞれ役割をもった8人の秘書官がついています。その中で、総理執務室に入れるのは、筆頭格の秘書官1名のみです。これは異例のことです。
この8人の秘書官は、総理にそれぞれの分野の内容を報告し、判断してもらうという非常に重要なポジションで、各省庁のエースが集まっています。各秘書官は自分たちの政策を正しく理解してもらうために総理とコミュニケーションを図っていきたいのですが、なかなか執務室に入れないというのが実情のようです。
秘書官がポイントを説明したくても、高市総理は渡された書類を読んで後は「自分で判断する」というスタイルなのです。
■「こんなに怒ると思わなかった」 自身の答弁きっかけに日中関係悪化への思いは
外交問題について。自身の「台湾有事は存立危機になり得る」という発言で中国との関係が悪化しました。これを高市総理はどう思っているのでしょうか。
(冨名腰記者)
高市総理は「一つの発言でこんなに怒ると思わなかった」と感じています。この発言は、想定された答弁書に記載がなく、ついぽろっと口にしてしまったというのが実情ということが取材で明らかになっています。
2014年に尖閣諸島問題で日中関係が冷え込んだ時は、当時の福田康夫元総理が中国との橋渡し役を果たしました。今の高市政権にはそうした存在がなく、総理は今年11月のAPECまでに急いで水面下でうまくやってくれる人を探さないといけないと思っているようですが、見つかりそうにありません。
■国民民主も連立入り? 高市総理はどう考える
次に内政について。現在、日本維新の会と連立を組んでいますが、そこに国民民主党も加わる可能性も指摘されています。維新・国民両党について、総理の胸の内は?
(冨名腰記者)
自民と維新の議席を足しても、参院では過半数に足りません。国民の玉木代表は「年収の壁」を178万円にすることで合意したことによって、来年度予算案に賛成すると早くも明言しました。高市総理にとってこんなありがたいことはありません。
ただ、維新との関係では、本気で議員定数削減をしようとまでは思っていません。
国民民主は、連立は組みたいが、玉木氏が総理大臣のポストを狙ってくるとすれば、それは高市総理にとってはあり得ない選択です。
■「年内解散の可能性は低い」 意外な見立ての理由は?
解散をめぐる思惑はどうでしょうか。
(冨名腰記者)
年内解散の可能性は低いとみています。
まず、総選挙の間隔が短すぎます。衆議院の任期4年のうちまだ1年3ヶ月ほどしか過ぎていません。2000年以降で、1年や1年半のタイミングで選挙をした人はいません。
次に、高市総理にとってリスクが多いということです。例えば今日解散したとして、選挙が行われるのは大体30日後ぐらいです。30日あると状況って結構変わるんです。3週間あれば支持率が10~20%変動することもあり得ます。目下の支持率が高いという理由だけで選挙に打って出るのは総理にとってリスキーなのです。
高いうちに解散してほしいという自民党の議員もいますが、その声は総理にとっては面白くありません。歴代の総理は支持率がだんだん下がってきたのですが、「自分だけは違う」ってみんな思うんです。高市総理も、1年後だって高い支持率を維持できると自信を持っているので、「高いうちに」という声はカチンとくるところがあるわけです。
高市総理にとって、自分の思いと党の思いをコミュニケーションによってつなげるかどうかが今後の大きな課題となりそうです。
(「newsおかえり」2026年1月8日放送分より)
高市総理は国民支持◎突破力〇コミュ力△ 執務室で”異例”の高市ルールとは 年内解散の可能性は「低い」 ベテラン政治記者が明かす高市総理のウラ側【きょうの深掘り】
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