中国商務省が日本への「軍民両用品」の輸出規制強化を発表しました。
高市総理の「台湾有事発言」以降、中国は日本への圧力を強めていて、さらにその度合いを強めた形です。
アメリカがベネズエラを攻撃してマドゥロ大統領を拘束し世界に緊張が走るなか、中国は他国への圧力を強めています。
中国の行動の背景には、アメリカのトランプ大統領の考えが透けてみえます。
そのメカニズムについて、キヤノングローバル戦略研究所上席研究員・峯村健司さんの解説です。
・中国の本気度「一段階上げた」 レアアースの輸出規制と半導体原料のダンピング調査で圧力強化
中国商務省は日本への軍事・民間の両用品の輸出規制を強化すると発表しました。
その中には、軍用戦闘機からスマートフォンまで広く使われる希少な鉱物資源レアアースが含まれる可能性もあります。
中国はレアアース大国で、日本の2024年のレアアース輸入先の中で、中国が占める割合は7割にのぼりました。
また、中国は半導体チップの製造に使われる原料について「日本からの輸入品が中国国内の生産に損害を与えている」として、不当に安く輸出したダンピングの疑いで調査に入ると発表しました。
ダンピングが認定されれば、追加関税が課せられます。
野村総合研究所エコノミストの木内登英さんは、レアアースの輸出規制による日本の経済損失額は1年間で2兆6000億円程度に上ると指摘。
峯村さんは「中国は本気度のステージを一段階上げた」とみています。
峯村さん:
当初の中国の意図は、悪いのは高市総理の発言であり、日本の人や日本の企業は悪くないというスタンスでした。
なので、企業や日本人の私生活に大きな影響が及ばないよう配慮してきました。
しかし、今回の措置は日本企業の生産に影響するという意味で、ある意味日本を事実上の敵と認定したことになります。
中国商務省は、日本からの半導体材料に問題があるとして、ダンピングの疑いで調査をすると発表しました。
調査にかかる期間は通常1年間で、ダンピングと認定された場合、追加の関税が課せられます。
日本が半導体を輸出している金額は2022年、約9兆7000億円でしたが、そのうち中国へ最も多く輸出されていて、額にして2兆7000億円に上ります。
・日中の対立長期化なら「ダメージ大きいのは日本」
峯村さんは中国の圧力の長期化は避けられず、日本経済に大打撃となるのではないかとみています。
峯村さん:
日本の一番の貿易相手国は中国です。
輸出規制で中国もダメージを受けますが、より傷が大きいのは日本だとみています。
日本では、レアアースを使わなくても製造できる技術が進んでいますが、開発にはまだ時間がかかります。
「もう中国からはレアアースを買わない」と言えれば日本のダメージを軽減することができますが、現状では難しいでしょう。
ただ、半導体材料を日本から輸入できないと、中国の産業にとっても打撃なので、日本も交渉できるカードを増やしていくことが重要といえそうです。
・アメリカの中国への態度に変化 日本・台湾は「東半球」化で中国の影響下に?
こうしたなか、アメリカは中国への態度を変えています。
先月アメリカで公表された国家安全保障戦略には、極めて重要な中核的国益として「西半球の権益確保」が筆頭に掲げられました。
今回、アメリカが軍事作戦を取ったベネズエラも西半球に位置する一方、日本や台湾などは東半球にあたります。
峯村さんは、トランプ大統領の東半球への関心が薄れているのではないかとみています。
西半球はアメリカ、東半球は中国がそれぞれ主導権を握る形をトランプ大統領が認める可能性があるというのです。
峯村さん:
台湾有事があってもアメリカが介入しなかったり、しても多大な干渉をしない可能性があると思います。
アメリカのベネズエラ攻撃を受け、中国は恐れて台湾への侵攻を思いとどまると分析する人もいますが、私は逆だと思っています。
アメリカは今回、特殊部隊を用いてベネズエラの体制を変えてしまいました。
中国も同じようなことを目論んでいて、台湾に対して全面的な侵攻をするよりは、端的に片づけたいと考えています。
アメリカがベネズエラへやったようなことを真似してみようと考える可能性があるのです。
さらに、アメリカがベネズエラを攻撃したことで、中国はアメリカに文句を言われる筋合いはなくなりました。
中国が台湾へ干渉したとしても、アメリカは「東半球のこと」として手を出さないかもしれません。
中国が西半球のことに干渉しないという条件で、「東半球」と「西半球」の二分案はディールとして成立する可能性があると思います。
・高市総理の訪米「非常に重要」 同盟国としてのアメリカをつなぎとめられるか焦点
日本の高市総理大臣は、米中首脳会談前の3~4月にアメリカを訪れる予定で、そこでアメリカをつなぎとめることができるかどうかが焦点となります。
峯村さん:
この訪米は非常に重要です。
ここで中国と勝手にディールをやると、まただまされたりレアアースの輸出を止められるかもしれない。それよりも同盟国を大事にし、同盟国同士で中国に向き合うようトランプ大統領を説得することが求められます。
そこに日本の命運がかかってるといっても私は言い過ぎではないと思います。
(2026年1月8日放送 newsおかえり)
【日本は中国の勢力下!?】「東半球」化が目前か 問われる高市総理の外交手腕 「中国は台湾問題を指摘される筋合いはなくなった」アメリカのベネズエラ攻撃は台湾情勢にも影響か 専門家解説
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