都市部の不動産価格が高騰するなか、政府は外国人による不動産取得を厳格化する方針を固めました。
実効性はあるのでしょうか。
また、有効な価格高騰対策はあるのでしょうか。
不動産の鑑定や調査を行う東京カンテイの高橋雅之上席主任研究員と”深掘り”します。
■政府が外国人の不動産購入一元管理の方針 届け出対象を拡大か
政府は、外国人による不動産の取得状況を一元管理する方針で動き始めました。
2027年度にも運用を開始することを目指していて、デジタル庁のサーバーを使って外国人が不動産登記をするときに国籍の登録を義務付けることにしています。
また、海外資金による不動産購入については、これまで国内法人を経由すれば実態把握は困難でしたが、検討中の案では、国内法人を経由していても実態把握できることにしています。
海外在住の外国人による不動産購入は、これまでは投資目的などに限り届け出義務がありましたが、その届け出の対象を拡大したい考えです。
検討されている案が実現できた場合、何ができるようになるのでしょうか。
高橋さんは2点挙げます。
①日本人と外国人で税率に差を設けることが可能になる
②外国人による不動産取得を規制するための条件整備につながる
高橋さん:
登録の義務付けによって、誰が価格高騰を引き起こしてるのか、またどのような対策が効果的なのかを明確にすることが可能になります。
価格高騰の条件を分析する情報を整理できるようになりということです。
■不動産価格高騰の原因は短期転売か 外国人の購入説は「うわさの域を出ない」
では、不動産価格をつり上げている原因は何なのでしょうか。
SNS上などでは「外国人が購入しているためだ」「短期転売のせいだ」という指摘が挙がっています。
こうしたなか、国土交通省が不動産の登記情報をもとに、都市部を中心に約55万戸の新築マンションについて初めて調査を行いました。
まず、外国人の不動産取得については、海外居住者の取得状況は東京都で3.0%、大阪府で2.6%、京都府で2.3%、兵庫県で0.6%という結果が出ました。
決して高い数値ではありません。
ただ、この数値には日本に住む外国人による不動産取得は含まれていません。
もう一つの項目、短期転売についても調査結果が出ています。
購入後1年以内に売買されたマンションは、東京都で8.5%、大阪府で6.2%、兵庫県で7.1%などとなりました。
政令指定都市に限ると、東京都心の6区の12.2%(2023年には7.1%)、神戸市の12.1%(同5.6%)が際立っていて、大阪市も7.2%(同4.8%)ありました。
この2年間ほどで、都市部のマンションがよく転売されている実態が浮き彫りとなりました。
高橋さん:
「海外居住者による購入」による価格への影響は不明だが、「投機目的の短期売買」は高騰の一因になっています。
今回の調査では国籍まで特定できておらず、「外国人による短期売買」の実態はさらなる調査が必要です。
投機目的の短期的な売買があるのは明らかですが、それが外国人によるものかどうかは噂の域を出ません。
■不動産価格安定へ「短期転売の税率アップを」 不動産のプロが提言
では、どうすれば不動産価格は安定するのでしょうか。
不動産価格の高騰に、不動産業界も黙っているわけではありません。
マンション開発大手など約160社が参加する一般社団法人不動産協会は、マンションを引き渡す前に転売することを禁止する新たな方針を定めました。
マンションの購入契約の際に引き渡し前の転売は違反であることを伝え、違反が確認された場合は、手付金を没収したり契約を解除することができるように定めています。
高橋さんは、官民が一体になって対策することが重要と指摘したうえで「投機目的の短期売買を減らすためには、短期売買への税率引き上げが有効」と提言します。
高橋さん:
儲からなくなれば、投機目的の短期売買はなくなっていきます。
税率が高くなるとの予測が出れば、高い税率がかかる前に売り抜けようという動きも出てくるでしょうから、さらに不動産価格は落ち着くのではないかと思います。
また、短期転売による価格高騰の問題点は本当に住む人が買えなくなることです。
そのためには、政府が住宅ローン減税などで購入を補助していくことも重要です。
政府与党は、2025年末に期限を迎える住宅ローン減税を延長する方針を固めていて、対象となる床面積を50平米以上から40平米台も対象とするほか、今後は中古物件への対象拡大も検討しています。
マンション価格高騰の原因は「短期転売」 国交省調査で傾向明らかに 専門家は高騰対策に「短期転売の税率引き上げを」【きょうの深掘り】
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