京都五花街のひとつ、先斗町(ぽんとちょう)で火災が起きるなど、各地で火災が相次いでいます。実は1年で最も発生件数が多いのは12月。身近に潜む火災のリスクとは?元小田原市消防本部で現在、危機管理アドバイザーの永山政広さんと“深掘り”します。
■なぜ12月に火災が増加? 「火災原因の大部分はヒューマンエラー」
2024年の全火災件数を見ると、11月には2579件だったのが、12月には3772件と大幅に増加しています。なぜ12月は火災が増加するのでしょうか。
永山さんによると「冬は空気が乾燥し、風も強いことから燃え上がる速度が速くなる」といいます。さらに「12月は仕事や大掃除などに追われて火に対する注意力が低下する面もある」と永山さんは指摘します。
永山さん:
火災の大部分は人為的なもの、ヒューマンエラーで起こるものが非常に多いです。ふだん大丈夫と思っていることでも、ちょっとしたボタンの掛け違いで条件が悪化して火災につながるおそれがありますので、ぜひこの時期は気をつけてください。
空気が乾燥する季節ということで、気象庁が発表した12月~2月の降水量3カ月予報によると、西日本は平年より少なくなる見通しです。
また、気象庁の1カ月予報では、西日本は日本海側では平年より曇りや雨・雪が少なく、太平洋側では平年より晴れの日が多くなる傾向にあるとされています。
永山さんは「身近な火災リスクに注意してほしい」と呼びかけています。
■意外なところに…家に潜む火災のリスク
意外なものが火災の原因となることがあります。身近な原因の一つが「火の気のないゴミ袋」です。
過去に揚げ油を吸わせた吸収材をゴミ袋に入れたところ出火したケースがあり、原因は油(不飽和脂肪酸を含む)でした。
製品評価技術基盤機構(NITE)によると、油は空気に触れると酸化して発熱しますが、熱が蓄積されやすい状況で発熱すると、最後には発火してしまうことがあるといいます。
つまり、容器に入った油は、空気に触れる面積が少ないですが、紙や布に染み込むと空気に触れる面積が広がり、さらに密閉されるなどの条件がそろうことで発火リスクが高くなるということです。
永山さん:
もし拭き取った場合は、袋を別にして水をしみこませ、万が一発熱しても熱が逃げやすいように捨てることで出火のリスクを下げることができます。
また今年5月には、大阪市内のリラクゼーションスパで火災が発生しました。店の代表によると、「タオルの自然発火が原因と消防士に聞いた」ということです。
火災前の状況としては、アロマオイルのふき取りなどに使用したタオル約30枚を従業員がコインランドリーで洗濯・乾燥し、タオルを店の入り口近くに置いたところ、約4時間後に自然発火したということです。
対策として、永山さんは「油が付いた衣類は洗濯後でも乾燥機を使わない」「熱がこもるため、乾燥機から出した衣類を1カ所に集めない」ようにしてほしいとしています。
永山さん:油が完全に落ちていればこういうことは起こらないので、乾燥機に入れず自然に乾かす方法であれば発火はしないと思います。
■今の時期に注意! 消火ボタンを押したのに…消えない石油ストーブ
身近な火災リスク2つ目は、「石油ストーブ」です。NITEによると、ストーブの消火ボタンを押して外出したのに、帰宅後も火が消えていなかった事例があったといいます。
原因は「変質した灯油」で、灯油が古くなるとガム状の物質が発生し、ストーブの芯に付着して所定の位置に戻らず消火できない状態になってしまうといいます。
永山さん:
保管状態によってだいぶ違います。例えば真夏に気温の高いところに置いてしまうと、この写真の右側のような状態に変質することもあります。保管条件が良ければ1年ぐらいは大丈夫とも言われています。
■年に一度の大掃除で出火!? エアコンの内部洗浄、コンセントに注意
「年に一度の大掃除」にも火災の危険は潜んでいます。NITEによるとエアコンの内部洗浄の際、基板に洗浄液が流れ込み、放電して発火する事故が発生したといいます。
対策として、永山さんは「作業時は必ずコンセントを抜いておくこと、内部洗浄は業者にお願いするのが無難」と説明します。
このほか、コンセントを濡れ雑巾で拭いたことで内部に水が入り、放電して発火したケースもあるといいます。
永山さんは「もし発火してもすぐに水をかけるのはNG。まずブレーカーを落としてから消火にあたってほしい」としています。また、ロボット掃除機が小型のヒーターを押してカーテンに触れて発火したケースもあったといいます。
■「天ぷら油火災にはマヨネーズ」は本当?
また、「天ぷら油が燃えたらマヨネーズを入れると消火できる」というウワサを耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。卵が固まって油面を覆い、酸素供給を絶つとされていますが実際にはどうなのでしょうか。
永山さんによると「マヨネーズは絶対にやめてほしい」「うまくできれば消火できる可能性はあるが、大抵の人は失敗して油が飛び散り大惨事になってしまう」と注意を呼びかけています。
永山さん:
理屈では消すことは可能ですが、大抵はうまく投げ込めない、あるいは投げたことによって鍋をひっくり返して火災になることの方が多いです。
■「濡らしたバスタオルをかぶせる」も難しい…
また同様に発火した天ぷら鍋に濡らしたバスタオルをかぶせる方法も耳にしますが、永山さんによると「うまくいけば効果はあるものの非常に難しい」ということです。
永山さん:
濡れたバスタオルをかぶせる方法で多く失敗する例としては、十分正確な位置にかけられずやけどをしたり、バスタオルを絞らず水をたっぷり含んだ状態で油の中に入れると、一気に燃え上がってしまいます。これらの方法はある程度練習が必要なので、やはり消火器が一番ということになります。
■もし火災に遭遇したら…初期消火の基本は消火器!
永山さんによると、初期消火の基本は消火器を使うことだということです。一般的に噴射時間は15秒あるので、火の根元にしっかりかければ十分消えるということです。
そんな消火器ですが、株式会社スマテンのアンケート調査によると、自宅に設置している人は35.9%、設置していない人は64.1%と過半数に及んだといいます。
永山さんは「ホームセンターでも購入できるので、耐用年数(住宅用は5年)を確認して、自宅で常に使える状態にしておくことが重要」と強調します。
――Q.消火器を使う練習ができる場所はある?
永山さん:
はい、あります。地域で防災訓練をやるときにも、大抵の消火訓練を行いますので積極的に参加していただきたいです。また、消防署には訓練用の消火器を用意してありますので、ある程度のグループで声をかけていただければ丁寧に教えてもらえると思いますので、ご相談していただきたいと思います。
(「newsおかえり」2025年12月5日放送分より) #abcテレビ #ニュース #newsおかえり #香港火災
「年に一度の大掃除で出火!?」 12月は火災急増!火の気がないゴミ袋が燃えたケースも…身近に潜むリスク もし遭遇したらどうすれば?【きょうの深掘り】
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